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厚生年金基金見直しにおける課題(2)

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懸念されるさまざまな消失問題

厚生年金基金廃止にあたっては、様々な消失問題も懸念されます。この問題は、厚生年金基金だけでなく、加入事業所、加入者、受給権者の方も理解しておくべきでしょう。昨年度に開催された社会保障審議会年金部会の第5回専門委員会でヒアリングを受けた信託協会から一時金選択者を除いた場合の上乗せ年金額は月額約1.4万円と示されており、長生きされる女性を想定した年金原資で換算すれば、約1.4万円×12ヵ月×平成23年簡易生命表の60歳女性の平均余命28.12年=約472万円となり、これほどの年金原資が失われる可能性があることに留意しておく必要があります。この一部を加入企業の退職金制度の内枠で支給しているなら、この消失で企業の退職金の追加負担も懸念されます。

また、厚生年金本体では支給しない独自給付(在老との併給調整、失業給付や高年齢雇用継続給付との併給調整、障害・遺族年金、公的年金加入年数25年未満の給付、代行乗率の差異と支給開始年齢の差異等)も消失する場合があります。

遺族給付金の相続税非課税、加入者掛金の社会保険料控除、特別法人税の努力目標水準までの非課税の税制優遇も消失します。特別法人税は現在凍結されていますが、凍結が解除された場合は影響が大きいので留意しておく必要があります。この特別法人税の努力目標水準は確定拠出年金の拠出限度額の根拠となっており、影響は厚生年金基金に留まりません。スケールメリット(一定資産規模の受託、運用コストの逓減効果等)の消失もありますが、最も懸念があるのは、企業年金の消失です。適格退職年金廃止では移行先が確定給付企業年金2割、確定拠出年金1割、中小企業退職金共済3割で、解約等が最も多い4割になってしまいました。3割しか企業年金に移行できなかった事を今一度思い出す必要があります。厚生年金基金の大部分は中小企業が多く加入する総合設立であり、今回の法案成立で、中小企業の企業年金が失われることは避けなければなりません。

平成25年3月末の厚生年金基金の加入者は426万人で、受給者数は平成24年3月末で293万人、事業所数11万所と多くの関係者が厚生年金基金には存在します。今後の存続や廃止等の方針を決めていくにあたっては、予想される様々な課題を明確にして加入企業や加入者・受給権者の理解を深めていく必要があります。

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