違法:年俸制だから残業代なし
年俸制も月給制も基本的に扱いは同じ
給与の支払い方式で「年俸制」を採用する企業が、IT(情報技術)系や外資系を中心に目立っている。しかし労働基準法上では年俸制も月給制も基本的に扱いは同じで、法定労働時間を超えて働けば割増賃金が発生する。「年俸制だから残業代なし」は、違法な対応だと認識しておく必要がある。
割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」です。ただし、以下の賃金については、割増賃金を計算する際に基礎となる賃金から除外することができます。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われる賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
なお、割増賃金を計算するにあたって、賞与の取り扱いについては注意が必要です。一般的に賞与は金額が確定しておらず(労働者の成績等の要因により額が変化する)、また、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金になることから、割増賃金の算定基礎には含まれません。
しかし、年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計してあらかじめ年俸額が確定している場合の賞与部分は、割増賃金の基礎となる賃金から除外できる賃金に該当しませんので、賞与部分を含めて割増賃金を計算する必要があります。
また、割増賃金に相当する額を年俸に含めて支払うこともできますが、この場合にも、実際の労働時間が年間の割増賃金に相当する時間数を超えるときは、その部分について別途、割増賃金を支払わなければなりません。