公立校、教員の残業は月123時間
過労死ライン上回る
連合のシンクタンク、連合総合生活開発研究所(連合総研)は8日までに、公立小中高校などに勤める教員の労働時間に関するアンケート結果を公表した。残業は月平均123時間16分で、2015年の前回調査より6時間ほど減ったが、厚生労働省が示す「過労死ライン」の80時間を大幅に超える状況が続いた。
国は2019年、公立校教員の長時間労働を是正するために「教職員給与特別措置法」(給特法)を改正しました。
休憩や時間外の自己研鑽を除く在校時間に、校外で職務として行う研修や引率などを加えた時間を「在校等時間」として労働時間管理の対象とし、在校等時間から所定労働時間を除いた1ヶ月の時間外労働に45時間の上限を設定しています。しかしながら、今回の調査で、改正給特法の施行後も、平均残業時間が「過労死ライン」を大きく超えていることがわかりました。
ところで、給特法は、月給の4%を教職調整額として一律支給する代わりに、残業代の支払いを認めていません。給特法は半世紀前にできた法律ですが、当時の月の残業時間(およそ8時間分)にあたる月給の4%分を上乗せする代わりに、残業代を支払わない仕組みになっているのです。
この仕組みが長時間労働の改善を妨げているとして、現役の教員や識者などが法律の見直しを訴え、7月26日に文部科学省で会見をおこなっています。公立学校の教員について時間管理がされずに長時間労働で疲弊すれば多様な学びを実現できず、教員志望の学生も減少すると危機感を示し、給特法を見直すよう国に働きかけていくと訴えました。
“定額働かせ放題” 教員ら「給特法」改正求める テレビ東京
なお、記者会見の全編は、こちらからご覧いただけます。
実際、2021年度の公立小学校教員採用試験では、競争倍率が全国平均で2.5倍となり、3年続けて過去最低を更新しました。長時間労働の改善が進んでいないことから、労働負担が大きいとのイメージによって人気が下がっているとみられているようです。