札幌高裁も再雇用拒否は無効
組合活動を巡る訴訟にて
北海道函館市の「函館バス」労働組合委員長黒滝浩二さん(62)が、組合休暇を組合員に不正取得させたとして再雇用を拒んだ会社の対応を違法と訴えた訴訟の判決で、札幌高裁は22日、一審函館地裁の判決を支持し、再雇用拒否を無効として地位を認めた上で、一審判決後の期間も含めた未払い賃金約527万円の支払いを命じた。
会社側は2020年11月、原告が一般組合員にも組合の活動を行う「組合休暇」を取得させたとして、原告を懲戒処分(出勤停止)にしました。その後、2021年春に、定年となる原告の再雇用を拒否しています。
判決は、「組合休暇の取得方法は労使間で合意に至っておらず、懲戒処分の理由に当たらない」と指摘したうえで、同社の制度では定年後も希望者を再雇用することになっており、原告に対する再雇用拒否は「社会通念上相当であると認めることはできない」と結論づけました。
さて、本記事に関連して、高年齢者雇用に関する法制の概要をご説明します。
●65歳まで
平成16年の高年齢者雇用安定法改正により、65歳未満の定年の定めがある事業主は、雇用する高年齢者の65歳までの雇用確保の措置として、以下のいずれかを講ずることが義務付けられました。
①65歳までの定年の引上げ
②定年制の廃止
③65歳までの継続雇用制度の導入
その後、平成24年の高年齢者雇用安定法改正により、解雇事由・退職事由に該当しない限り、希望者全員に(上記のいずれかの措置による)65歳までの雇用を確保する義務が課されることになりました。
●70歳まで
令和2年の高年齢者雇用安定法改正により、70歳までの高年齢者就業確保措置として、事業主に以下のいずれかを講ずることの努力義務が課されることとなり、令和3年4月から施行されています。
①70歳までの定年の引上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
・事業主が自ら実施する社会貢献事業
・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
※④と⑤を合わせて「創業支援等措置」といいます。
また、最新(令和 4年6月時点)の「高年齢者雇用状況」の概要については、ヒューマン・プライム通信のバックナンバーにてご確認いただけます。ぜひご視聴ください。