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中小賃上げへ、アメとムチ

価格転嫁「Gメン」1割増/適正取引なら法人税優遇

政府が賃上げの裾野拡大に力を入れている。中小企業庁は4月から取引先への価格転嫁が進んでいるかを調べる「Gメン」を1割増やし330人とした。適正な取引を実施している企業には賃上げ税制を通じて法人税を優遇する方策も用意し、硬軟織り交ぜて賃上げ定着を狙う。

日本経済新聞Web 2024年5月3日付け記事より引用しました。

 「下請けGメン」とは、下請中小企業を訪問し、下請中小企業の主な取引先との取引の状況や下請取引上の課題、及び次のような困りごとについてヒアリングを行う専門調査員をいいます。

・「発注予定額の○○%」など合理性のない引き下げを要請される。
・光熱費、原材料費などの値上げを申請すると、「他社はどこも言ってきてない」「貴社だけですよ」などと言われる。
・金型の返却や保管料負担の話をするが、何も対応してもらえない。
・手形では下請代金の受け取りまでに数ヶ月かかり、資金繰りが厳しくなる。

下請けGメンがヒアリングで聴いた意見等を国や業界が定めるルールづくりに反映し、適正な取引環境の実現に繋げていきます。

ところで、下請代金支払遅延等防止法(下請法)では、親事業者に、発注書面の交付義務などの「4つの義務」と、下請代金の減額の禁止などの「11の禁止行為」が課されています。
親事業者の4つの義務
親事業者の11の禁止行為

これらに違反すると、単なる行政指導にとどまらず、厳しい社会的制裁を伴うことに注意が必要です。
①勧告・指導
親事業者が下請法に違反すると、公正取引委員会から勧告や指導がなされます。

②罰金を科される
親事業者が必要な書類を交付していなかった場合や、公正取引委員会の必要な検査を拒んだ場合などには、50万円以下の罰金が科される場合があります。

公正取引委員会のWebサイトで公表される
下請法違反によって勧告を受けた場合、公正取引委員会によって違反内容や企業名などが公表されます。
勧告を受けて違反事実を公表された企業は、取引先や消費者から「下請事業者を不当に扱った事業者」と判断されてしまうため、これまで積み上げてきた社会的信用を失うかもしれません。違反内容が悪質な場合は業界内で風評が広まり、新規契約ができず業績が悪化して経営が難しくなる可能性があります。

中小企業庁の委託事業である「下請けかけこみ寺」では、下請事業者の相談だけでなく、親事業者の下請法に関する問い合わせにも応じていますので、ぜひご活用ください。

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