企業の配偶者手当見直し検討のためのわかりやすい資料を作成しました
いわゆる「年収の壁」対策
厚生労働省では、このたび、企業が配偶者手当の見直しを検討するにあたって、その参考となるよう、見直しのメリットや手順を盛り込んだわかりやすい資料を作成しましたので、公表します。
この資料は、いわゆる「年収の壁」への当面の対応として9月27日(水)に全世代型社会保障構築本部において決定された「年収の壁・支援強化パッケージ」で掲げる対応策の一つとなります。
企業の賃金制度の多くは基本給と諸手当から構成されていますが、諸手当の中で導入率の高いのが家族手当です。
家族手当とは、扶養家族がいる従業員に対して支給する手当全般をいい、そのうち、配偶者がいる従業員に支給されるのが「配偶者手当」です。近年、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し、短時間労働者に対する社会保険の適用拡大が講じられ、従来の枠を超えて働く選択肢に目を向ける女性が増えてきていることから、企業が「配偶者手当」のあり方を見直す動きが出てきています。
また、一般的に配偶者手当には配偶者の収入要件があるため、女性パートタイム労働者が就業調整を行う要因になっていることが指摘されています。
<就業調整をする理由/割合(複数回答)>
①一定額(130万円)を超えると配偶者の社会保険の被扶養者から外れるから
57.3%
②自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を支払わなければならないから
49.6%
③一定額を超えると配偶者の税制上の配偶者控除が無くなり、配偶者特別控除が少なくなるから
36.4%
④一定額を超えると配偶者の会社の配偶者手当がもらえなくなるから
15.4%
※厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」より
このような背景から、国も、企業に対して配偶者手当の見直しを求めています。
平成26年には「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」の中で、配偶者手当の在り方の検討を進めるという方針を示し、それを受けて、厚生労働省では、平成28年に「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」という通達を発出しました。その中では、配偶者の収入要件がある配偶者手当について、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが求められています。
今般の「年収の壁・支援強化パッケージ」に配偶者手当への対応が織り込まれ、令和6年春の賃金見直しに向けた労使の話し合いの中で、配偶者手当の見直しも議論されるよう、見直しの手順をフローチャートで示す等わかりやすい資料を作成、公表されました。今後は、配偶者手当を支給している企業が減少の傾向にあること等を,各地域で開催するセミナーで説明するとともに、中小企業団体等を通じて周知していくとのことです。