障害者への「合理的配慮」4月から民間事業者にも義務化
合理的配慮とは?
4月1日に「改正障害者差別解消法」が施行され、民間の事業者も障害のある人の求めに応じて合理的な配慮を行うことが義務づけられることを受けて、都内の会社では28日、障害者に配慮した接し方などを学ぶ研修会が開かれました。
2021年改正の「障害者差別解消法」が今年4月1日に施行され、これまで民間の事業者には努力義務であった「合理的配慮の提供」が義務化されました。内閣府は、合理的配慮の提供について次のように整理しています。
①行政機関等と事業者が、
②その事務・事業を行うに当たり、
③個々の場面で、障害者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に
④その実施に伴う負担が過重でないときに
⑤社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること
内閣府の「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」では、動画やイラスト入り解説書を用意し、不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供や環境整備の具体例、取り組み事例などが紹介されています。例えば、飲食店に車いす利用者が訪れた場合であれば、「経験がない」と拒否せず、通常のいすを片づけ食事場所をつくるといった対応です。こうした資料を参考に「自分たちにはどんな対応が可能か」を企業・職場内で話し合っておくことが重要です。
また、雇用の分野においては、2016年4月より「改正障害者雇用促進法」が施行され、障害者差別は禁止、合理的配慮の提供は義務とされています。雇用分野での合理的配慮とは、次の通りです。
①障害のある労働者の個別のニーズに応じて、
②事業者の過重な負担なく、
③能力の発揮を妨げる社会的障壁を取り除くこと
なお、障害のある労働者とは、障害者雇用の対象者(障害者手帳の所持者)には限定されず、以下の定義に該当する方をいいます(障害者雇用促進法第2条1号)。
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な者