人気洋菓子店で「やりがい搾取」
残業100時間超が常態化…超過分未払いも
同社は、労使の合意に基づき、時間外労働を「月100時間未満」と定めていた。しかし、18年の是正勧告で、製造や販売などに携わる社員ら約100人のうち、半数超の55人が100時間を超える時間外労働をしていたと認定された。その後も改善しなかったとして、今年1月に2度目の是正勧告を受けたという。
また、同社では、社員ごとに労働時間を定め、固定残業代を支払った上で、所定の労働時間を超えた分を別に支払う仕組みだった。しかし、一部の社員に超過分を払っていなかったという。
読売新聞オンライン 2021年11月3日付け記事より引用しました。
記事で触れられている「やりがい搾取」という言葉は、教育社会学者で東京大学教授の本田由紀さんが名付けたものです。TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で、主人公が商店街の作戦会議に参加した時のシーンで取り上げられて話題になりましたので、ご存知の方も多いと思います。「やりがい搾取」の概念や問題点などは、こちらのコラムをご参照ください。
本田さんは、朝日新聞の記事「コロナ禍でのやりがい搾取 東大教授が語る奉仕の罠」の中で、次のように語っています。
「コロナ禍で注目されているエッセンシャルワーカーはその一類型といえます。医療や介護、保育などの対人サービスは献身的に顧客のニーズに最大限、応えようとして働き過ぎる傾向があります。自分たちの仕事は他の人々の生活や生命を成り立たせるのに貢献している。この「奉仕性」がやりがいとなって低賃金で働くのも仕方がないと思ってしまうのです。過酷な医療現場では、やりがいを感じる心の余裕さえ失うケースすら出ているといいます。これらの仕事は利他的なのですが、他人に尽くすことが「自分の仕事自体に価値がある」と満足できる理由にさえすり替えられなくなる厳しい労働実態があります」(以上、2020年9月3日付け朝日新聞デジタルより引用)
「やりがい搾取」は長時間労働・過重労働の問題や残業代の未払いに直結しやすいため、企業には適切な労務管理を行い、未然にそのような問題を防いでいただくようお願いいたします。