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副業・兼業に取り組む企業の事例集を厚生労働省が公表

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BASE株式会社さんの取組事例

厚生労働省は3月30日、副業・兼業の解禁を考えている企業向けに、事例集「副業・兼業に取り組む企業の事例について」を公表しました。

本事例集は、令和4年8月から10月にかけて副業・兼業に取り組む民間企業11社から、副業・兼業の解禁等の背景や、社内制度の概要等についてヒアリングを行った結果をとりまとめたものであり、副業・兼業の解禁にあたっての検討の参考として活用してくださいとしています。

本ブログでは、事例集の中から副業・兼業に意欲的に取り組んでいる企業のうちの1社としてBASE株式会社さんの事例をご紹介致します。BASE株式会社さんは、11社の中では従業員規模は最も小さいながらも、平成24年12月に設立され、令和1年10月にマザーズ市場に上場(現在は東証グロース市場)するなど急成長を遂げている企業で、個人的に今後も一層成長が期待できる企業と考えて今回BASEさんに注目して事例を取り上げました。

なお、本ブログではご紹介できませんが、ヒアリング結果の全体概要やBASE株式会社さん以外の10社の事例についても非常に参考になる内容となっていますので、ぜひご覧頂ければと思います。

BASE株式会社さんの取組事例

 BASE株式会社さんは、インターネット付随サービス業を営んでおり、従業員数は約250名の会社です。

【副業・兼業の解禁の背景】
平成24年の設立当初から就業規則には、許可を得て副業に従事できる旨を記載しており、副業禁止とはしていなかったが、政府による副業・兼業の推進や、働き方改革を受けて、申請の手続等の明確化を行った。

【副業・兼業の捉え方】

  • 副業・兼業は、社員の自己実現の手段のひとつと考えている。「社員には自社を本業とし、自社の業務にコミットしてもらいたいと思っているが、あくまでも会社での労働時間外の時間をどのように利用するかは社員の自由である。」このように考え、自己実現の手段として副業を認めており、趣味的な副業であっても許可基準を満たせば許可している。
  • 実際にパティシエや服飾などの副業を実施している社員もいる。こうした副業も社員のストレス解消や人脈形成等につながることで、結果的に自社でのパフォーマンスが向上することもあり得ると考えている。
  • 一方で、エンジニアについては、他社の同系統の仕事をフリーランスとして請け負うことが多いため、他社の仕事をこなす中で経験を積み、キャリア形成やスキル向上を図って会社にその成果を還元してもらいたいと考えている。
  • 対象者は全社員。副業希望者は、web上の申請フォーマットに必要事項を記載し、人事部に提出する。人事部、所属のマネージャーが審査を行い、役員が最終的に許可を行う。人事部は許可基準に形式的に適合しているか否か、所属のマネージャーは副業することにより、本業である自社での業務に支障を来さないかの観点で審査を行う。期間のない副業であっても、許可は1年ごとに更新する必要がある。
  • 申請フォーマットへの記載事項は、副業先の企業名、副業先の業務内容、副業の期間、副業の時間(所定労働時間など)等。許可基準は、◆同業・競合他社への副業ではない(利益相反行為がない)こと ◆反社会的な副業ではないこと ◆副業の時間が長すぎないこと ◆本業に支障を来さないこと 等としている。
  • 深夜業は一律禁止とはしていないが、健康確保、本業への支障といった観点から、1か月4回以上であったり、勤務間インターバル(8時間)の確保が困難になったりする場合には、許可しないこととしている。また、自社での時間外労働と副業の時間(雇用か非雇用かは問わない)の合計が1か月80時間を超える場合にも許可しないこととしている。
  • 他社に雇用される形での副業も基準を満たせば許可をしているが、副業先との労働時間の把握・連携が困難であることから、労働時間の通算が課題であると考えている。
  • 健康確保の観点から、副業の時間については申請時に確認し、自社での時間外労働と副業の時間の合計が、36協定に基づき超過勤務の上限時間(80時間)を超えないよう労働者に指示、指導を徹底している。
  • 雇用による副業、非雇用による副業を問わず、自社における時間外労働の時間と副業の時間とを通算して医師の面接指導の対象とするか否か判断している。

従業員が副業・兼業を行うことによるスキルや経験の向上が自社に良い効果を生み出すと考え、副業・兼業の解禁を検討される企業は今後増えていくと思われます。そういった中、このように先行的に進められている企業の事例は大いに参考になると思います。

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