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36協定の重要ポイント[2] 特別条項の内容は適正ですか?

人事・労務ほっとニュース
前回の「36協定の重要ポイント1」では、法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりする可能性がある場合は、36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要がある旨をご説明しましたが、今回はその法定労働時間を超えて時間外労働を行う特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を締結することにより、限度時間を超える労働をさせることができることについて説明します。

特別条項付きの36協定を締結するにあたっては、以下の要件を満たしていることが必要です。
[1] 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)
[2] 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情 (注1)
[3] 原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続 (注2)
[4] 限度時間を超える一定の時間
[5] 限度時間を超えることができる回数(1年の半分を超えてはならない)
[6] 限度時間を超える一定の時間を定めること
[7] 限度時間を超える一定の時間を定めるにあたっては、その時間をできる限り短くするように努めること
[8] 限度時間を超える時間外に係る割増賃金率を定めること
[9] 限度時間を超える時間外に係る割増賃金の率は、法定割増賃金率(2割5分以上)を超える率とするように努めること

(注1)
特別の事情は「臨時的なもの」に限られ、具体的には一時的または突発的であることが必要です。全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。

<臨時的と認められるものの例>

  • 予算、決算業務 ・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙 ・納期のひっ迫 
  • 大規模なクレームへの対応 ・機械のトラブルへの対応

<臨時的と認められないものの例>   

  • (特に理由を限定せず)業務の都合上必要なとき 
  • (特に理由を限定せず)業務上やむを得ないとき 
  • (特に理由を限定せず)業務繁忙なとき 
  • 使用者が必要と認めるとき ・年間を通じて適用されることが明らかなとき

(注2)
厚生労働省が提供している雛型が「労使協議を経て」となっているため、そのまま使用してしまい、実際は協議の手続きを怠っていませんか?この定めた手続きをとらずに延長時間を超えて労働させた場合は、労働基準法第32条違反となり、労働基準監督署の調査では是正勧告の対象となります。なお、手続き方法は「協議」「通知」「通告」「同意」等、36協定の趣旨に反しなければ差し支えないとされているので、会社の実態に合った手続きを選択する必要があります。また、手続をとったその事実(時期・内容・相手方)を明らかにする証拠として書面等を残しておく必要があります。証拠がないと労働基準監督署の調査では指導の対象となってしまいます。

特別条項の記載例
一定期間における延長時間は、1ヵ月45時間、1年360時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労働者へ通知のうえ、6回を限度として、1ヵ月60時間、1年630時間までこれを延長することができる。なお、延長時間が1ヵ月45時間、1年360時間を超えた場合の割増賃金率は30%とする。

特別条項に定めるべき延長できる時間数の上限はありませんが、だから言って適当な時間で協定すればいい訳でもありません。会社には労働者の健康を守る「安全配慮義務」が課されていますので、時間の設定にあたっては残業の実態を把握することや、会社と労働者で十分に話し合って決定することが望まれます。また、その設定した時間はあくまでも「上限」ですので、できる限り延長時間は短くするように努力しなければなりません。以上を踏まえたうえで、適正な「特別条項付き36協定」を締結するよう心掛けることが大切です。

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