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通勤災害の要件と具体的な判断について


労働災害には、業務災害と通勤災害に大まかな分かれますが、今回は通勤災害について事例をあげて記したいと思います。

そもそも、通勤とは?
●通勤の移動は以下の3通りになります。
 1.住居⇔就業の場所
 2.住居⇒最初の就業場所⇒次の就業場所⇒住居
 3.就業場所⇔帰省先の住居、赴任先の住居⇔就業場所、帰省先の住居⇔赴任先の住居
 ※2.3の場合は一定の要件があります。

●通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により、往復することです。移動の経路を逸脱したり、中断した場合は、逸脱又は中断の間及びその後の移動は通勤にはなりません。ただし、逸脱や中断が日常生活上必要であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事情により行うための最小限度のものである場合は、その逸脱や中断の間を除き、この限りではありません。では、以下の場合に起こった災害は、通勤災害の対象となるのでしょうか。よくある事例を示していきます。

1.寝過ごし等で始業時刻を遅刻する時間帯の移動中は?
遅刻する時間帯でも就業との関連性は認められますので、通勤災害になります。ただし、所定の始業時刻とかけ離れた時刻における移動中は、就業との関連性が認められず通勤災害になりません。

2.業務終了後、組合活動に出席して帰る際の移動中は?
組合活動が長時間(約2時間以上が目処)になった場合、業務を終えたことによる退勤とは認めらず、通勤災害とはなりません。

3.台風等で電車が止まり、緊急的に会社の近くのホテルに宿泊して翌日、ホテルから就業場所への移動中は?
やむを得ない事情で住居の場所が移ったと考えられ、通勤災害となります。やむを得ない事情でない場合は通勤とはなりません。

4.会社に申請している経路以外で起こった災害は、通勤災害と認められないのか?
会社に申請している経路以外でも通常利用できる経路が別にある場合は、合理的な経路と認められるため通勤災害となります。

5.会社でマイカー通勤が禁止されているのに、マイカーで通勤するなど会社への申請方法と異なる方法で出勤し、災害にあった場合は?
通勤行為として行われている以上、当該通勤行為も合理的な方法として取り扱われ、通勤災害となります。

6.逸脱や中断ってどのような程度の行為なら逸脱や中断にならないのか?
経路上の公園のトイレを利用したり、コンビニで雑誌を買う程度の些細な行為は逸脱・中断とはなりません。

7.日常生活上必要な行為とは?
日用品の購入その他これに準ずる行為として、スーパーでの買い物、独身者の食事、病院又は診療所で診療を受けること等が含まれます。

8.出張する予定で、通常の通勤経路で災害にあった場合は?
出張は、住居からの移動から任地に赴いてから用務を終えるまでの一連の過程をすべて含むと考えらえるため、この事例では、業務災害となります。

今回、通勤災害についてよくありそうな事例で通勤災害になるのか紹介しましたが、業務災害を含め労働災害には、複雑な状況が多々存在しますので労働災害になるのか否かを明確に区分けすることは難しいと思います。判断に困った場合、会社の顧問先の社会保険労務士や労働基準監督署に相談するなどすると良いかと思います。

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