心の病で労災629件 最多
昨年度、パワハラ認定125件
厚生労働省は24日、仕事が原因でうつ病などの精神障害を患い、2021年度に労災認定されたのは前年度比21件増の629件だったと発表した。1983年度の統計開始以来、3年連続で過去最多を更新した。
認定のうち自殺(未遂を含む)は79人でほぼ横ばい。原因別でみると「パワーハラスメント」が125件で最も多かった。
厚生労働省は、仕事による強いストレスが原因で発病した「精神障害」や過重な仕事が原因で発症した「脳・心臓疾患」について、令和3年度の労災補償状況を取りまとめ、発表しています。ポイントは以下のとおりです。
●精神障害に関する事案の労災補償状況
◇請求件数は2,346件(前年度比295件の増加)
・業種別には、「医療,福祉」577件、「製造業」352件、「卸売業,小売業」304件の順となっています。
◇支給決定件数は629件(前年度比21件の増加)
・業種別には、「医療,福祉」142件、「製造業」106件、「卸売業,小売業」76件の順となっています。
・時間外労働時間別(1か月平均)には、「20時間未満」が73件で最も多く、次いで「80時間以上~100時間未満」が44件です。
・出来事別には、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」125件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」71件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」66件の順に多くなっています。
●脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
◇請求件数は753件(前年度比31件の減少)
・業種別には、「運輸業,郵便業」155件、「建設業」105件、「卸売業,小売業」92件の順となっています。
◇支給決定件数は172件(前年度比22件の減少)
・業種別には、「運輸業,郵便業」59件、「製造業」23件、「卸売業,小売業」22件の順となっています。
・時間外労働時間別(1か月または2~6か月における1か月平均)には、評価期間1か月では「100時間以上~120時間未満」20件が最も多く、評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」56件が最も多くなっています。
厚生労働省は、令和4年度地方労働行政運営方針のなかで「安全で健康に働くことができる環境づくり」を掲げ、中小企業・小規模事業者等が生産性を高めつつ労働時間の短縮等に向けた具体的な取組を行い、働き方改革を実現できるように、相談・支援を推進することが重要であるとしています。さらに、労働者の安全・健康のため労働災害防止の取組の推進や産業保健活動及びメンタルヘルス対策の推進を図るとしています。
また、長時間労働対策として、勤務間インターバル制度の導入促進を図ることや、時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場、及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を、引き続き実施するとしています。