雇用保険 保険料率引き下げ措置 年度末で終わらせることで調整
保険料率は来年4月から1.55%となる見通し
労使が負担する雇用保険の保険料率は、新型コロナウイルスの感染拡大前は雇用保険財政に余裕があったため引き下げられていましたが、感染拡大後、雇用調整助成金の支給決定額が6兆円を超えるなどして雇用保険の財源不足が深刻化しています。
こうした中、厚生労働省は保険料率を引き下げている措置を年度末で終わらせることで調整を進めています。
令和4年度の雇用保険料率は10月1日から変更されており、令和5年3月31日まではこちらの料率が適用されます。
なお、一般の事業における雇用保険料率(13.5/1000)の内訳は以下の通りです。
・失業等給付 6/1000(労使折半)
・育児休業給付 4/1000(労使折半)
・雇用保険二事業 3.5/1000(使用者のみ負担)
雇用保険制度は、失業等給付と育児休業給付、及びこれらに附帯する事業で成り立っています。失業等給付は、労働者の生活および雇用の安定と就職の促進を図るため、失業した場合(求職者給付、就職促進給付)、雇用継続が困難となる事由が生じた場合(高年齢者雇用継続給付、介護休業給付)、自ら教育訓練を受けた場合(教育訓練給付金)に支給されます。
育児休業給付は、かつては雇用継続給付に位置づけられていましたが、2020年の改正で失業等給付から独立し、子を養育するために休業した労働者の生活および雇用の安定を図るための給付として位置づけられることとなりました。
また、2022年10月より、男性の育児休業取得の促進等を目的とした出生時育児休業制度の創設に伴い、出生時育児休業給付が新設されています。
主な附帯事業として、雇用保険二事業があります。雇用保険二事業は、失業の予防、雇用状態の是正および雇用機会の増大を図る雇用安定事業と、労働者の能力開発・向上を促進する能力開発事業で種々の施策を実施しています。雇用安定事業においては、雇用調整助成金等、能力開発事業においては、職業能力開発施設の設置運営等が行われています。