人手不足解消のカギ、「賃上げ」が51.7%でトップ
リスキリングによる成長や働きやすい環境の見える化などが課題に
新型コロナに関する水際対策が2023年4月28日で終了となったほか、5月8日には感染症法上の位置づけが「5類」へ移行したことにより経済活動がさらに活性化している。このため、人手不足感がより深刻化することが予想され、多くの企業で人材確保や人手不足解消に向けた対応が喫緊の課題となっている。
アンケート結果のポイントは、以下の通りです。
① 『人手が不足していない要因』は、「賃金や賞与の引き上げ」が51.7%でトップ。次いで「働きやすい職場環境づくり」35.0%、「定年延長やシニアの再雇用」31.2%が続く。
② 『人手が不足している要因』は、「条件に見合った人材から応募がない」が54.6%でトップ。「業界の人気がない」、「企業の知名度が低い」が4割台で続き、「厳しい労働環境」と「賃金水準」が3割台。
帝国データバンクさんは、「人手不足感の上昇に歯止めをかけ、人材確保や人手不足の解消に導く最も重要なカギは『賃上げ』であると考えられ、それを実施しやすい環境の整備が必要であろう。また、賃上げ以外にも『成長・安心できる職場』や『働き方の多様性』など、人材確保・人手不足解消の7カ条※をバランスよく取り組むことが重要になる。」とまとめられています。
※【人材確保・人手不足解消の7カ条】
1. 成長・安心できる職場
2. 賃金の引き上げ
3. 働き方の多様性
4. 仕事の合理化
5. 適材適所による効率化
6. 慣例にとらわれない人事制度
7. 職場へのアクセス・立地条件
また、「人手が不足していない」企業からの主な声をご紹介しておきますので、自社の取り組みの参考にされてください。
・既存社員のベースアップのほか、有料採用サイトを利用しつつ、入社時の初任給を年収ベースで約50万円上げた。それだけで応募件数が変わってきた。
・テレワークの導入および在宅勤務体制を整えたほか、残業ゼロを推進している。
・時間外勤務の抑制や有給休暇の取得率向上に力を入れて、従業員の定着と採用促進に対応している。
・社員への丁寧なフォローによる退職者の抑制や、新卒採用の増加等により社員数が増加。
・健康経営やDXなど、効率を上げて従業員一人一人の付加価値を上げていけば離職率は下がる。DXの実施により、教育にかかる時間を削減できた。
・働く社員の処遇の改善や働く環境を会社ホームページなどでアピールすることが重要。
・給与体系の抜本的な見直しや、免許および資格などの取得に積極的に取り組んでいる。