東京ディズニーランド“パワハラ”訴訟
2審は原告の訴え退ける
東京ディズニーランドでキャラクターの着ぐるみを着てショーに出演する40代の契約社員の女性は、上司や同僚から繰り返し暴言を受けるなどのパワハラや集団的ないじめを受けたと主張して運営会社の「オリエンタルランド」に330万円の賠償を求めました。
1審の千葉地方裁判所は、パワハラに関する訴えは退けた一方、「女性が孤立しないよう職場環境を整えるべきだった」として、会社に対し88万円の支払いを命じました。
一審判決(令和4年3月29日 千葉地方裁判所)では、上司らの発言を違法とは認めませんでしたが、会社側が「職場の人間関係を調整しなかった」として、安全配慮義務に違反したと判断していました。
判決文から該当する箇所をご紹介します。
被告は,他の出演者に事情を説明するなどして職場の人間関係を調整し、原告が配役について希望を述べることで職場において孤立することがないようにすべき義務を負っていたということができる。
ところが,被告は,この義務に違反し,職場環境を調整することがないまま放置し、それによって,原告は,周囲の厳しい目にさらされ、著しい精神的苦痛を被ったと認めることができるから、被告は,これによって原告に生じた損害を賠償する義務を負う。
パワハラの主張は認めなかったものの、原告に不満を持つ同僚が増えるなか、原告が職場で孤立していた状況について、会社が職場の人間関係を調整することなく放置したことを「職場環境調整義務違反」と評価した、というわけです。
これに対し、二審の東京高等裁判所は、「原告が孤立していると相談した形跡は見当たらず、むしろ原告の状況に理解を示す同僚も相当程度存在していた。原告が職場で孤立していたというには疑問が残る」として、一審判決を取り消し、訴えを退けました。