1. HOME
  2. ブログ
  3. 気になる話題ピックアップ
  4. イケア、着替え時間の賃金払わず

お役立ち情報

Information

気になる話題ピックアップ

イケア、着替え時間の賃金払わず

9月から支給へ

家具小売り大手のイケア・ジャパン(千葉県船橋市)が2006年の開業以来、制服への着替え時間について従業員に賃金を支払っていなかったことが毎日新聞の取材で判明した。イケアは事実関係を認めた上で、9月1日から着替え時間分の賃金を新たに支払うとしている。

毎日新聞 2023年8月28日付け記事より引用しました。

 着替え時間については、厚労省が平成29年に策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に以下の通り記載されています。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。
ア.使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連
した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
イ.使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
ウ.参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

また、判例(三菱重工業長崎造船所事件 最1小判平12.3.9)においては、
①入退場門から更衣室までの移動時間
②午前の終業時刻後(午後の始業時刻前)に作業場(食堂)から食堂(作業場)までの移動、一時的に作業服を離脱(再装着)する時間
③手洗い・洗面・洗身・入浴後の通勤服着用時間
④更衣室から入退場門までの移動時間
これは、使用者から義務付けられ又はこれを余儀なくされているとはいえないとして「労働時間と認めない」とされています。

一方で、
作業前の作業服・安全保護具の着用
②更衣室から作業場への移動
③資材の受け出し・散水等の準備行為及び作業後の作業場から更衣室への移動
作業服・安全保護具の脱離
については、いずれも業務に必要な行為として労働者に義務付けられていたとして「労働時間に該当する」とされています。

なお、ヒューマン・プライム通信の「『人事・労務』実務の基礎知識」シリーズでは、2回にわたって「労働時間管理」を解説していますので、この機会にぜひご視聴ください。
労働時間管理(1)
労働時間管理(2)

関連記事