九州保健福祉大の元助教の雇い止め無効判決
その間の賃金2000万円余りの支払いを
この裁判は九州保健福祉大学の薬学部で助教を務めていた40代の女性が5年前、雇い止めにあったのは不当だとして、地位の確認や賃金の支払いなどを求めていました。
6日の判決で、宮崎地方裁判所延岡支部の和田将紀裁判長は「原告は担当教授からも高く評価されていたことなどから契約の更新を期待する合理的な理由が認められる」などと指摘しました。
「雇い止め」とは、有期雇用契約において契約を更新せずに終了させることをいいます。期間を定めた雇用契約の場合、雇用期間満了とともに契約が終了するのが原則です。
しかし、労働者側に「雇用契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がある場合」(労働契約法19条2号)には、期間の定めのない雇用契約における「普通解雇」の場合と同様に、雇い止めに「客観的・合理的理由と社会通念上の相当性」が認められられない場合、雇い止めは無効となります。
なお、労働者に更新に対する合理的な期待が生じているかどうかは、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。
- その雇用が臨時的であるか常用的であるか
- 契約更新の回数や雇用の通算期間
- 雇用期間の管理の状況
- 雇用継続の期待を持たせる会社側の言動の有無
また、無効な雇い止めによって就労を拒否されていたことは、使用者の責めに帰すべき事由による就労拒否であるため、労働者は賃金請求権を失わず、雇い止めから判決確定日までの賃金を請求することができます。
参考までに、「雇い止め無効」に関する過去の記事もぜひご一読ください。