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現役の裁判官 異例の国を提訴へ“転勤による報酬減額は違憲”

現役の裁判官が国を相手に裁判を起こすのは異例

津地方裁判所の現役の裁判官が、地域手当の支給率に格差があるため転勤によって実質的に給与が減ったのは裁判官の報酬の減額を禁じた憲法に違反しているなどと主張し、国に対し、減額分の支払いなどを求める訴えを起こす方針を明らかにしました。

NHK 2024年4月16日付け記事より引用しました。

 裁判官には、勤務地により地域手当が支給されます。地域手当の金額は、いわゆる基本給に、その地域の民間企業などの賃金状況などに基づき定められている割合を乗じて算出されます。

割合は東京23区の20%を最大として傾斜がつけられており、竹内判事は前任地の大阪高裁(16%)、名古屋高裁(15%)から津地裁(6%)に転勤したことにより、地域手当が年々減額され、過去3年間で計約240万円の差が生まれたとのことです。

竹内判事は、裁判官のなり手が減っていることを指摘し、「不合理な制度で多数の裁判官が不満を訴え、若手も辞めている。なんとかしないと地方に行く裁判官がいなくなってしまう」と述べています。

さて、裁判官は、難関の司法試験を合格した人の中でも成績優秀者がなるといわれてきました。裁判官は、司法試験合格後、司法研修所で司法修習という一定の研修を受けた後、直ちに「判事補」という身分で裁判官に任官されます。

その後、裁判官として10年の経験を積むと、判事補から「判事」となり、一人で審理を行って判決をする、つまり、単独事件を担当することができるようになります。しかし、最近では、判事補が減り、定員を減らしているにもかかわらず、常に2割前後の欠員が続いているそうです。

また、地方裁判所・家庭裁判所には本庁の他に支部や出張所が複数設置されているのですが、裁判官が常駐していない支部が48ヵ所もあるとのことです。

判事補の欠員の大きな理由の一つが、転勤の多さといわれています。裁判所は数が多く、支部や出張所を含めると、全国に1000庁以上も設置されています。従って、裁判官にとって「転勤は必要不可欠なもの」と位置づけられていて、約3~5年のサイクルで転勤があるようです。

転勤があるのは裁判の公平性を保障するためで、その地域に住んでいる人と交流が増えた結果、私情が入り、正しい裁判ができなくなるといった事態を招かないようにするための方策でもあります。裁判官を転勤させることによって、全国のどこでも均一で質の高い司法サービスを提供することを目指しているといえます。

裁判官の仕事に関心のある方は、ぜひこちらのサイトをご覧になってみてください。

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