生理・更年期への配慮、企業公表の行動計画に追加
さらなる女性活躍に向けて
厚生労働省は、女性活躍に向けて企業が公表する行動計画の項目に、生理や更年期の症状に配慮する取り組みを追加する方針だ。女性特有の健康課題での経済損失は年3.4兆円程度に上るとの試算がある。生産人口の減少が続くなか、働く女性の就労環境を改善して生産性向上につなげていく。
経済産業省「働く女性の健康推進に関する実態調査2018」によると、勤務先で女性特有の健康課題や症状で困った経験の有無について、「困った経験がある」は51.5%であり、半数以上の女性が何らかの困った経験を有していました。具体的な健康課題・症状としては、「月経関連の症状や疾病」、「PMS(月経前症候群)」、「更年期障害」、「メンタルヘルス」が主となっています。
また、女性従業員の約4割が女性特有の健康課題などにより「職場で何かをあきらめなくてはならないと感じた経験」があると回答し、具体的な内容としては、「正社員として働くこと」「昇進や責任の重い仕事につくこと」「希望の職種を続けること」「管理職となること」が多く挙げられています。
さて、女性従業員の多くは、生理による不快な症状に対して、症状が強い場合であっても我慢している傾向にあります。労働基準法の「生理休暇」制度は、男性上司等に相談しづらいこと、制度利用者が少ないこと、同僚の目が気になること等から、生理を理由として休暇を取得することにためらいがある状況が見られます。
女性が能力発揮できるような職場環境整備の機運を醸成するため、厚生労働省は昨年9月に「働く女性と生理休暇に関するシンポジウム」を開催しました。YouTubeでアーカイブ配信がご覧になれますので、この機会にぜひご視聴ください。
また、厚生労働省は5月17日、「女性活躍に関する調査」報告書を公表しています。
本調査は、企業における女性活躍推進法の浸透状況と課題を明らかにするため、全国の常用労働者30人以上の1万5,000社を対象に実施したもので、報告書は、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」で資料として提示されています。
前回の2018年調査と比べて劇的な変化はありませんが、「女性管理職がいない」という割合は企業規模にかかわらず減少しており、300人以上企業では女性管理職比率の上昇もみられる(報告書P45参照)としています。