改正育児・介護休業法など可決・成立 育児と仕事の両立を支援
複数の制度の中から2つ以上を設けることを義務づける
育児と仕事の両立を支援するため、これまで子どもが3歳になるまでが中心だった措置を拡充することを盛り込んだ改正育児・介護休業法などが、参議院本会議で与野党の賛成多数で可決・成立しました。
仕事と育児・介護との両立を支援する改正育児・介護休業法などが5月24日、参院本会議にて賛成多数で可決、成立しました。今後、人事・労務実務への対応が必要となりますので、法改正の概要を今日と明日の2回に分けてお伝えします。今日は「育児と仕事との両立支援」に係る部分です。
1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
①子が3歳になるまでの事業主が講ずる措置(努力義務)・短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加
・テレワークを活用促進するため、事業主の努力義務とする。
・短時間勤務制度について、1日6時間を必置とした上で、他の勤務時間も併せて設定することを促進するとともに、短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置にテレワークを追加する。
②子が3歳以降小学校就学前までの柔軟な働き方を実現するための措置
・各職場の事情に応じて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢(※)から労働者が選択可能なものを2つ以上選択して措置を講じる義務を設け、労働者はその中から1つ選べることとする。
※始業時刻等の変更、テレワーク等、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与
なお、テレワーク等とは所定労働時間を短縮しないもので、勤務日の半数程度(週5日の場合、1ヶ月10日)、時間単位で実施可能とする。
③所定外労働の制限(残業免除)の対象範囲の拡大
・労働者は権利として子が小学校就学前まで所定外労働の制限(残業免除)を請求できることとする。
④子の看護休暇の取得理由・対象範囲の拡大
・感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにし、請求できる期間は、小学校3年生修了時までとする。
⑤妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮
・事業主は、子が3歳になるまでの適切な時期に労働者に対して制度の説明と取得意向を確認するための面談等を行う。
・措置が労働者の就業と育児の両立を実質的に容易にする内容となるよう配慮する
2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大
・男性の育児休業取得率の公表義務の対象を、常時雇用労働者数1,000人超の事業主から300人超の事業主に拡大する。
施行日は2025年4月1日です。ただし、1の②と⑤は公布日から1年6か月以内の政令で定める日となっています。
明日は、「介護と仕事との両立支援」に係る部分について概要をお伝えします。