中部電力 男性自殺 1審取り消し
労災認める判決 名古屋高裁
13年前、中部電力に入社して半年の26歳の男性が自殺したことをめぐり、遺族が労災と認めるよう求めていた裁判で、2審の名古屋高等裁判所は訴えを退けた1審を取り消し、労災を認める判決を言い渡しました。
職場のストレスなど心理的負荷による精神障害に係る労災認定について、厚生労働省は、平成23年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を策定しています。
精神障害の労災認定のためには、以下3つの要件をいずれも満たす必要があります。
①認定基準の対象となる精神障害を発病していること
②対象疾病の発病前おおむね6ヶ月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
なお、業務による心理的負荷によって精神障害を発病したと認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、あるいは自殺を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されている状態に陥ったもの(故意の欠如)と推定され、原則として業務起因性が認められます。
令和2年5月には、同年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正されました。
■ 「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加
- 「出来事の類型」に、「パワーハラスメント」を追加
- 「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を「具体的出来事」に追加
■ 評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文言修正
- 「具体的出来事」の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の名称を「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」に修正
- パワーハラスメントに該当しない優越性のない同僚間の暴行やいじめ、嫌がらせなどを評価する項目として位置づける
また、ヒューマン・プライム通信のバックナンバーでは、過労死等※に係る労災補償の状況について解説していますので、この機会にぜひご視聴ください。
※過労死等とは、業務における過重な負荷による「脳・心臓疾患」や、業務における強い心理的負荷による「精神障害」を原因とする死亡やこれらの疾患のことを言います。