介護職、賃上げ月6000円
厚労省、来年2月から 介護報酬のプラス改定視野
厚生労働省は2024年2月から介護職員1人あたり月6千円の賃上げを実施する方針だ。介護を担うことができる看護補助者も対象とした補助金を支給し、来春以降は介護サービスの公定価格である介護報酬のプラス改定を視野に手当てする。賃金の低さから介護人材の流出が続いており、処遇改善を急ぐ。
介護人材の流出は社会全体にとって深刻な課題であり、この状況が続くと、求める介護サービスを受けられない“介護難民”の増加が懸念されます。そうなれば、要介護者である家族が仕事を辞めて介護に専念せざるを得ない状態となり、家族全体が経済的に困窮することにもなりかねません。
また、「介護離職」は、貴重な人材の喪失を招くだけに、人手不足下が続く企業にとっても影響が大きいといえます。
さて、東京商工リサーチさんが先日、「介護離職に関するアンケート」調査結果を発表しました。
2023年8月までの1年間に、「介護離職が発生した」と回答した企業は10.1%で、このうち正社員が65.3%を占めています。介護離職者は男性と女性のどちらが多いかとの問いには、「男性の方が多い」が51.6%、「女性の方が多い」が37.0%、「同じぐらい」が11.2%となっています。
介護離職者のうち介護休業・介護休暇のいずれかを利用していた人の割合を尋ねたところ、「利用した従業員がいない」が54.5%であり、介護離職者の5割超がこれらの制度を活用していなかったことがわかりました。
また、仕事と介護の両立支援における自社の取り組みについて聞いたところ、約4割の企業が「十分とは思わない」と回答し、その理由として、「代替要員を確保しにくい」が62.4%で最多となり、次いで「自社に前例が少ない」51.9%、「介護休業制度が社員に浸透していない」31.1%と続いています。
仕事と介護の両立支援制度には、介護休業・介護休暇のほか、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、短時間勤務等の措置があります。詳細は、厚生労働省「介護休業制度 特設サイト」をご覧ください。
また、人事労務担当者向けに「社員が介護に直面した際にとるべき対応」をまとめた動画もありますので、ご参考になさってください。