健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
厚生労働省は国として初めて「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表しました。
このガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために活用されることを目的としています。
ガイドラインでは酒量よりも純アルコール量に着目することが重要だとして健康へのリスクを示しています。
お酒に含まれる純アルコール量とは、「グラム(g)=お酒の量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー (kcal)のようにその量を数値化できます。
飲酒をする場合には、お酒に含まれる純アルコール量(g)を認識し、自身のアルコール摂取量を把握することで、例えば疾病発症等のリスクを避けるための具体的な目標設定を行うなど、自身の健康管理にも活用することができます。単にお酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)について着目するところに目新しさがあります。
例: ビール 500ml(5%)の場合ですと、純アルコール量 500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)といった感じです。
世界保健機関(WHO)等では、飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクは少なくなるという報告もあり、飲酒量(純アルコール量)をできる限り少なくすることが重要です。 例えば、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げてしまうこと、大腸がんの場合は、1 日当たり約 20g程度(週 150gグラム)以上の量の飲酒を続けると発症の可能性が上がる等の結果を示した研究もあります。
政府の健康づくり計画である「健康日本21(第3次)」では、「生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の割合を男性13.0%、女性6.4%まで減少させること」を重点目標として示しています。
また健康に配慮した飲酒の仕方等について、以下のようなこと等をガイドラインで説明していますが、今までにどこかで訊いたような事柄も不思議と説得力が増してきます。
- 飲酒前又は飲酒中に食事をとる事で、 血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があること。
- 飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲む事で、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする効果があること(水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする、少しずつ飲酒する、アルコールの入っていない飲み物を選ぶなど)
- 一週間のうち、飲酒をしない日を設けること(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)
これからの時期、お花見、歓送迎会などとお酒を飲む機会が確実に増えそうですが、健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを一読するだけでも、純アルコール量が減るような気がします。