新型コロナ「後遺症も労災に」
対象拡大で申請数4倍
会社員などが新型コロナウイルスに感染した場合に、労働者災害補償保険(労災保険)の給付が認められる対象が広がっている。厚生労働省は2月と5月の2回にわたり、全国の労働局に「後遺症も労災保険の給付対象」と認める方針を伝えた。医療現場でも、後遺症に悩む患者へ労災申請を勧める動きが出始めた。4月には、コロナに関する労災の申請数が前年同月比で4倍以上の8098件と急増。
3月、4月と新型コロナウイルスに関する労災保険の請求件数が急増しており、4月単月で2021年度合計の約3分の1を占める多さとなっています。その背景には、厚労省がコロナ後遺症にも労災補償の対象を広げる方針を示したことがあり、これまでなかなか進みにくかった労災保険制度の利用が、改善に向かっているようです。厚労省が5月に出した通達をご覧ください。
患者の診療や相談にあたるかかりつけ医等やその他医療従事者、行政機関の方々が活用する目的でまとめられた『新型コロナウイルス感染症診療の手引き』<別冊>罹患後症状のマネジメントによると、「罹患後症状は、 新型コロナウイルス感染症に罹患後、感染性は消失したにもかかわらず,他に明らかな原因がなく、急性期から持続する症状やあるいは経過の途中から新たに、または再び生じて持続する症状全般をいう」とされています。そして、代表的な症状として、以下を挙げています。
- 疲労感・倦怠感、 関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下
また、手引き50P~54Pには職場復帰支援の意義や職域連携のポイント、具体的な事例が掲載されており、企業で産業保健に携わっている方にとっても大変参考になりますので、ご一読されることをお薦めします。