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1万986事業場で違法な時間外労働を確認、是正・改善指導

令和3年度の監督指導結果を公表

厚生労働省では、このたび、令和3年度に、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめましたので、監督指導事例と共に公表します。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

厚生労働省 2022年7月29日付け報道発表資料より引用しました。

 労働基準監督署が長時間労働の疑われる事業場に対して2021年度に実施した監督指導の結果ですが、対象となった32,025事業場のうち、違法な時間外労働があったのは10,986事業場(34.3%)であり、うち月80時間を超える時間外・休日労働が認められたのは4,158事業場(違法な時間外労働があった事業場の37.8%)でした。
また、是正・改善指導を受けたその他の違反内容は、過重労働による健康障害防止措置の未実施※が6,020事業場(18.8%)、賃金不払残業が2,652事業場(8.3%)となっています。
健康障害防止措置が未実施のものとは、以下の違反を指しています。

  • 労働安全衛生法第18条違反(衛生委員会を設置していないもの等)
  • 労働安全衛生法第66条違反(健康診断を行っていないもの)
  • 労働安全衛生法第66条の8違反(1月当たり80時間を超える時間外・休日労働を行った労働者から医師による面接指導の申出があったにもかかわらず、面接指導を実施していないもの)
  • 労働安全衛生法第66条の8の3違反(客観的な方法その他の適切な方法により労働時間の状況を把握していないもの)

ここで、健康診断の事後措置についても、その実施状況を見ておきたいと思います。事業者は、健康診断等の結果、異常の所見があると診断された労働者について、就業上の措置について、3か月以内に医師または歯科医師の意見を聴かなければなりません(労働安全衛生法第66条第4項)。しかし、厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、一般健康診断の有所見者に対する事後措置の実施状況は下記の通りとなっています(複数回答あり)。

  • 再検査の指示等の保健指導:74.9%
  • 医師への意見聴取:31.2%
  • 地域産業保健センターの医師への意見聴取:8.2%

再検査の指示など保健指導については約7割の事業者が実施できていますが、医師への意見聴取については、地域産業保健センターを含めても3~4割に留まっています。健康診断を実施していても、健康診断の事後措置を行っていなければ、労働安全衛生法違反となり得ます。そして、従業員については、症状の悪化、事故の発生、生産性の低下、休職や離職、といった事象を引き起こす可能性が高まります。健康診断を実施した後は、必ず医師(産業医、地域産業保健センターの医師)による意見聴取や保健指導を実施するようにしていただけますでしょうか。

また、ヒューマン・プライム通信のバックナンバーで、従業員の健康管理を取り上げて動画解説していますので、健康診断の事後措置についてより詳しく理解されたい方はぜひご視聴ください。

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