クルーズ船解雇無効認めず
プリンセス号元従業員敗訴
新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を運航する日本法人の元従業員の30代男性が、解雇は合理的な理由がなく無効だとして地位確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(伊藤由紀子裁判長)は29日、訴えを退けた。
2020年8月に元従業員3人が提訴し、うち2人は昨年12月に会社側と和解しています。会社側が遺憾の意を示して「解雇」を撤回し、「合意退職」とする内容でした。一方、元従業員の30代男性は復職を希望し、東京地裁で訴訟が続いていました。
さて、労働契約の終了事由は、①当然退職(自然退職)、②合意退職、③辞職(退職)、④解雇、⑤雇止めに大別されます。
①当然退職(自然退職)・・・就業規則や雇用契約に定められている事由を満たした場合、労働者や使用者の意思表示がなくとも労働契約が終了することをいいます。
②合意退職…労働者と使用者の合意(労使双方の意思)による解約をいい、申込みと承諾によって成立します。
③辞職(退職)…労働者からの一方的な解約をいいます。原則として辞めることは自由ですが、期間の定めのない契約の場合、2週間の予告期間が必要です(民法627条)。
④解雇…使用者からの一方的な解約をいい、原則として解雇日の30日前までに解雇予告をすることが必要です(労働基準法20条)。なお、解雇の効力が問題となることがあります。
⑤雇止め…有期雇用契約の期間満了に際し、使用者が契約の更新を拒絶することをいいます。
また、記事にある「退職勧奨」とは、使用者が労働者に退職の働き掛けを行い、労働者側の動機づけをする行為をいいます。退職勧奨は、労働者の退職の意思表示を受けて、使用者が承諾するという「合意退職」を目指します。従って、退職勧奨は、労働者の退職の意思表示を誘引する行為であり、使用者の一方的な意思表示による「解雇」とは区別されます。