セブン、そごう・西武の債権900億円放棄
池袋本店、ストで休業
セブン&アイ・ホールディングスは、売却を決めた百貨店子会社のそごう・西武に対する貸付金約1600億円のうち、900億円程度を放棄する。同社の今後の事業計画を踏まえ、債権放棄を通じて経営再建を後押しする。一方でストライキを示唆する労働組合との交渉は決裂。百貨店では約60年ぶりとなるストが決まり、西武池袋本店(東京・豊島)は31日に全館休業する。
ストライキは「争議行為」の一つですが、争議行為とは、労働組合又は労働者の団体が、使用者との団体交渉を通じて労働条件の維持改善を図っていく過程において、自らの主張を貫徹するための圧力手段として認められている行為で、手法としては次のようなものがあります。
①同盟罷業(ストライキ)
自己の主張を貫徹するために、労働組合又は労働者の団体によってなされる一時的な作業停止
②ピケッティング
ストライキを行っている労働者がそのストライキを維持し又は強化するために、労務を提供しようとする労働者、業務を遂行しようとする使用者側の者又は出入構しようとする取引先に対して見張り、呼びかけ、説得、実力阻止その他の働きかけを行うもの
③職場占拠
ストライキを実施している労働者が団結を維持し、ストライキ中の操業を阻止するために職場を占拠する行為
④怠業(サボタージュ)
労働組合又は労働者の団体が自己の主張を貫徹するために、作業を継続しながらも、作業を量的・質的に低下させる行為
⑤業務(生産)管理
使用者の意志を排除して労働者によって職場が占拠され、専ら労働者の方針によって生産や業務が遂行されるもの
⑥強行就業
使用者の意思に反して就業を強行するもの
一方、これらに対抗する手段として使用者に認められている行為には、作業所閉鎖(ロックアウト)があります。ロックアウトは、使用者側が争議手段として生産活動の停止を宣言し、作業を停止するものをいいます。
争議行為は、憲法第28条で「団体行動を行う権利」として保障されており、刑事上も民事上も、法的な責を問われないよう保護されています。また、正当な争議行為により使用者が損害を受けた場合であっても、民事的な賠償責任を負わないものとしています(労働組合法第8条)。
なお、争議行為のうち「同盟罷業(ストライキ)」を開始する場合には、労働組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票による過半数による決定を要し、その旨を組合規約に明記しなければならないと規定されています(労働組合法第5条)。また、日常生活に欠くことのできない公益事業(運輸事業、郵便・信書便又は電気通信、水道・電気・ガス供給、医療又は公衆衛生の事業など)で働く労働者が争議行為をしようとするときは、争議行為をしようとする日の少なくとも10日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければなりません(労働関係調整法第8条、第37条)。
争議行為に参加して現実に就労しなかった労働者については、その不就労部分について賃金は生じません。賃金の「不就労控除」については、ヒューマン・プライム通信355号で解説していますので、動画をぜひご視聴ください。