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NEC元支店長の過労死を認める

遺族側が逆転勝訴 福岡高裁

日本電気(NEC、本社・東京都港区)の岡山支店長だった男性が47歳で脳出血で亡くなったのは過重な業務が原因だったとして、妻が遺族補償を不支給とした岡山労働基準監督署の決定を取り消すよう国に求めた訴訟の控訴審判決が26日、福岡高裁であった。岡田健裁判長は、請求を棄却した1審・福岡地裁判決(2022年9月)と労基署の不支給決定をいずれも取り消した。脳出血の発症は長時間労働などが原因だと判断した。

毎日新聞 2023年9月26日付け記事より引用しました。

 労働者または遺族は労基署に対して労災保険給付の請求をし、労基署長が支給または不支給の決定をおこないます。この不支給決定に不服がある場合には、都道府県労働局の労災保険審査官に対する「審査請求」、および国の労働保険審査会に対する「再審査請求」をおこなうことができます。審査請求をしても決定が覆らなかった場合には、不支給処分の取り消しを求めて、裁判所に訴訟を提起することができ、この訴訟における相手方は国です。

また、地方裁判所が棄却・却下した場合は、高等裁判所に控訴することができ、高裁が棄却・却下した場合は、最高裁判所に上告受理を申し立てることができます。

一方、使用者が労基署長の労災支給決定に不服がある場合、使用者が原告となって支給決定処分の取消訴訟を提起することができるか(原告となる資格が認められるか)という問題があります。この点、使用者の「原告適格」を判断した近時の裁判例には、
①労災保険メリット制の適用を受ける事業主が、保険料認定処分の取り消しを求めた「医療法人社団総生会事件(東京高裁平29.9.21)」
②労働者に対する療養補償給付・休業補償給付の支給決定処分について、使用者がその取り消しを求めた「一般財団法人あんしん財団事件(東京高裁令4.11.29)」
があります。

①は、先行処分である労災支給決定処分の違法性を保険料認定処分の取り消し事由として主張することはできないとして請求を棄却しつつ、先行処分の取り消し訴訟の原告適格を有すると判断しました。
②は、一審(東京地判令4.4.15)では先行処分の原告適格を認めなかったのですが、二審の東京高裁は、①と同様に、先行処分の取り消し訴訟の原告適格を認める立場を採りました。なお、本判決については、国側から上告されているようです。

これまで、会社の立場として、労基署による労災認定に対して疑義を挟むことはあまり考えられませんでしたが、②の裁判の行方によっては、従来の常識を翻し、労災保険給付の支給処分に不服がある使用者が、労災支給処分の取り消しや労災保険料認定処分の取り消しを求めて訴訟を検討することも予想されます。

参考までに、過労死等の労災認定基準および労災補償状況について解説したヒューマン・プライム通信をぜひご視聴ください。

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