ベア実施企業が半数 過去最高
物価高を背景に積極的な賃上げ
厚生労働省が28日発表した2023年の賃金実態調査によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を実施または予定すると答えた企業は50%程度で過去最高だった。物価高を背景に積極的な賃上げに踏み切る企業が増えた。
「賃金引上げ等の実態に関する調査」は、厚生労働省が、民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、従業員100人以上の企業を対象にして、毎年7月から8月にかけておこなわれる調査で、令和5年は3,620社を抽出して実施され、1,901社から有効回答が得られました。
調査結果のポイントは以下の通りです。
●賃金の改定状況
・「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合 89.1%(前年 85.7%)
・1人平均賃金の改定額(予定を含む) 9,437円(前年5,534円)
改定率(予定を含む) 3.2%(同 1.9%)
●定期昇給等の実施状況
・定期昇給を「行った・行う」企業割合
管理職 71.8%(前年 64.5%)
一般社員 79.5%(同 74.1%)
・ベースアップを「行った・行う」企業割合
管理職 43.4%(前年 24.6%)
一般社員 49.5%(同 29.9%)
賃上げの方法には、一定の時期にあらかじめ定めた額を原則として毎年引き上げる「定期昇給」と、生産性の向上などに基づき必要に応じて月例賃金の水準自体を底上げする「ベースアップ」の二通りがあります。
定期昇給には、年齢や勤続年数の上昇に伴って増える「自動昇給(年齢給、勤続給等)」、職務遂行能力や成果、人事評価によって金額が決まる「査定昇給(職能給、成果給等)」、昇格・昇進した際に資格給や役割給などが増加する「昇格・昇進昇給」があります。
一方、ベースアップは、全社員を対象として一定額を引き上げる「一律定額配分」や、基本給に一定の率を乗じた額を引き上げる「一律定率配分」のほか、職務・資格別の配分、若年層や子育て世代、業績・人事評価等に基づく優秀層といった特定層への重点配分など、各企業の実情に合わせて、多様な手法で実施されています。
ヒューマン・プライム通信の「『人事・労務』実務の基礎知識」シリーズでは、賃金管理について2回にわたり解説していますので、この機会にぜひご視聴ください。