会社に貢献意欲、日本は5% 世界平均23%、格差拡大
4年連続の過去最低水準
従業員の会社に対する貢献意欲、愛着を表す言葉「エンゲージ」に関する米調査会社ギャラップのリポートで、貢献したいと思っている従業員の割合が日本は2022年で5%にとどまったことが17日、分かった。
調査によると、必要最低限の努力しかせず職場にいても時計を見つめて就業時間が終わるのを待っている「エンゲージしていない」人が72%に達しており、ギャラップ社は、23%は「全くエンゲージしていない」で、会社の評判を落とすような振る舞いをしていると指摘しています。
また、エンゲージの低さが日本の国内総生産(GDP)を13%押し下げていると試算しました。少子高齢化で人材獲得が難しくなる中、ギャラップ社の調査担当者は「従業員への対処の仕方を考えなければならない時期に来ている」と指摘し、「従業員の会社に対する気持ちは、上司の振る舞いなどで改善できる」とコメントしています。
さて、マイナビさんが2月8日に「正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)」を発表しました。
調査対象は20~59歳の正社員(有効回答3,000人)で、働く本音について聞くと、「できることなら働きたくない」は「そう思う」と「ややそう思う」の合計で56.9%となりました。また、「静かな退職(やりがい・キャリアアップは求めず、決められた仕事を淡々とこなすこと)をしている」と感じるか聞いたところ、48.2%がそう感じると回答しています。
「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉は、アメリカのキャリアコーチであるブライアン・クリーリー氏がつくったとされています。2022年にTikTokとYouTubeでこの言葉を説明する動画を公開したところ、英語圏のインターネットで大きな議論を生みました。ワークライフバランスや自分の自由な時間に重きを置いているZ世代は、静かな退職に対して肯定的な印象を持っていることがわかっています。静かな退職が注目されているのは、近年になって、従来からある“頑張りすぎない働き方”を意識的に選ぶ人が増えてきたことが一因といわれています。
頑張りすぎない働き方は生き方の一つとして尊重されるべきですが、企業からすると、そのような冷めたマインドの従業員が増えることは、パフォーマンスや生産性が低下しがちになる恐れがあり、歓迎したくないと思います。
従業員が静かな退職に至るにはいくつかの要因が考えられます。企業は従業員が持つ不満に耳を傾け、取り組める対策を検討し、静かな退職に柔軟に向き合う姿勢を持つことが大切です。そして、従業員にとって働きがいのある職場をつくっていきましょう。
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