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“違法な退職の勧奨”みずほ銀行に330万円の賠償命令 東京地裁

およそ4年間、自宅待機

みずほ銀行に勤務していた関西地方に住む50代の男性は2016年に勤務態度などをめぐって自宅待機命令を受け、そのまま5年後に懲戒解雇となりました。
男性は「問題行動がないのに違法な処分を受けた」として賠償や懲戒解雇の無効を求めて訴えを起こし、みずほ銀行側は全面的に争っていました。

NHK 2024年4月24日付け記事より引用しました。

 判決は、退職勧奨に続く約4年半の自宅待機命令は「実質的に退職勧奨が継続していた」と指摘し、退職以外の選択肢を与えない状況を続けたもので、「社会通念上許容された限度を超えた“違法な退職勧奨”だ」と判断し、慰謝料の支払いを命じました。

さて、「退職勧奨」とは、使用者からの労働契約解約の申し入れのことをいいます。労働者がその申し入れに応じた場合、解雇ではなく、合意退職(会社都合退職)となりますので、退職の効力が生じますが、解雇権濫用法理の適用はありません。従って、適切に退職勧奨を行うことで、紛争リスクや退職無効リスク、レピュテーションリスクを回避しつつ、労働契約解消の結果を得ることができます。

退職勧奨は基本的に違法ではありませんが、あまりに度を超すと違法性が帯びてくるので次のような点に注意が必要です。
①退職勧奨の際の会社側担当者の言動の内容:
退職以外に選択肢がない旨の言動をしたか、退職に応じない場合の解雇の可能性の示唆を行ったか等
②退職勧奨の態様:退職勧奨を行った時間や回数、退職勧奨を行った際の会社側の人数等
③退職者の言動:退職を拒否していたか

退職勧奨の法的リスクを回避するためには、退職勧奨時の会社側の言動が
・侮辱的な内容ではないか
・退職を強制する内容になっていないか
・退職する以外に選択肢がないことを示すものになっていないか
に注意する必要があります。
また、労働者が退職を拒否した後も退職勧奨を継続することは、違法と判断されるリスクが高くなりますので、退職勧奨を継続するべきかどうかを慎重に判断しなければなりません。

労働契約終了の形態には、合意退職と解雇(普通解雇、整理解雇、懲戒解雇)以外に、辞職、雇止め、期間満了等があります。それぞれの場面における留意事項について、ヒューマン・プライム通信のバックナンバーで解説していますので、この機会にぜひご視聴ください。

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