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上司へのパワハラ…スタンガンや熱湯、靴ではたく

市職員を懲戒免職

市によると、男性職員は、同局測量明示課の技能職員。2021年の7月から9月にかけて、当時の業務主任だった男性上司にスタンガンを当てたり、自転車のチェーンで計10回以上ぶったりした。足元に熱湯を浴びせ、靴で頭をはたくなどの暴行も繰り返し、あざや水ぶくれなどのけがを負わせたという。

朝日新聞DIGITAL 2023年6月14日付け記事より引用しました。

 「職場のパワーハラスメント」とは、以下の①から③までの3つの要素を全て満たすものと定義されています。
優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるもの

優越的な関係を背景とした言動」とは、業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指し、例えば、以下のようなものが該当します。

  • 職務上の地位が上位の者による言動
  • 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
  • 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

パワーハラスメントは、一般的に、上司が部下に対して行うものと理解されていますが、上司(特に中間管理職)が部下との人間関係で悩むことも少なくありません。最近では、部下から上司に対するパワーハラスメント、いわゆる「逆パワハラ」が増えています。

部下から上司へのパワハラ裁判例には、「京都地判平成27年12月18日」があります。医療福祉センターに勤務していたX氏が、職場の部下からのいじめや嫌がらせ行為などにより、うつ病に罹患したと主張して労災保険の請求をしたところ、業務に強い心理的負荷が認められないとして、労災保険の給付をしない処分が下りました。そこで、X氏は、この処分の取り消しを求めて、訴訟を提起しました。

X氏は、以前から手が震えて字がスムーズに書けない病状がありましたが、裁判では、部下から事務の引継ぎを受ける際に、字が読みづらいことや表計算ソフトをなかなか習得できないことについて、部下から次のような酷い言葉を浴びせられていたと認定されています。
「字を他の人にも読めるように書いてください。ペン習字でも習ってもらわないといけない」
「時間がかかりすぎです。この表の作成に1日もかかりませんよ」
「勉強してください。わからなかったら娘さんにでも教えてもらってください」
「日本語わかっていますか」

判決では、部下からX氏への業務の引継ぎにおける言動などを総合的に考慮して業務上の心理的な負荷は「社会通念上、客観的にみて、うつ病に罹患する恐れがあるほど強いものであった」とされ、労災が認められました。

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