フリーランス 事故増加 職場の安全対策義務づけへ 残る課題は?
増えるフリーランス 相談相次ぐ
職場での安全対策が義務づけられていないフリーランスについて、厚生労働省は業務中の事故が相次いでいることなどから、職場での安全対策を定めた労働安全衛生法の対象とする方針を決め、雇用された労働者と同様の安全研修などが義務づけられることになりました。
本記事でも取り上げられている「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」の最終報告書が、10月27日に公表されました。
ところで、フリーランスに関しては、今年4月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス新法が成立しています。
この法律は、フリーランスと発注事業者間の「取引の適正化」と「就業環境の整備」を目的としており、就業環境整備のために、育児・介護等との両立における配慮、ハラスメント防止の体制整備等の措置などを発注事業者に義務づけました。
しかしながら、フリーランス新法は、フリーランスを事業者として捉えた、あくまで事業者間の取引における適正化を図る目的で策定された法律であって、フリーランスの安全衛生確保については、立法措置が講じられていません。そこで、国は、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」の検討結果を踏まえて、適切な法令整備を目指すこととしています。
2020年に実施された「フリーランス実態調査」結果によると、フリーランスとしての仕事を原因とする病気や怪我をしたことがある方が2割おられ、また、その病気や怪我によってフリーランスとしての仕事を中断した方が1割いらっしゃいました。
また、2020年11月に国が開設した「フリーランス・トラブル110番」に寄せられた相談件数も、2020年度は4か月余りで1332件、2021年度は4072件、2022年度は6884件と年々増加しています。フリーランス・トラブル110番では、業務上の怪我や病気をはじめ、ハラスメントや報酬の未払いなど仕事上のさまざまなトラブルに関する相談を行っています。
もしフリーランスとして仕事をしていて困ったことがあったら、一人で問題を抱え込まずに、ぜひフリーランス・トラブル110番を利用してみてください。