「会社と合わない」 退職代行サービスに早くも新卒の依頼殺到
SNSで違和感増幅
退職代行サービス「モームリ」を運営する「アルバトロス」(東京都大田区)によると、多くの企業で入社式が行われた4月1日から依頼が入り始め、18日までに計129人が同社に申し込みを行った。昨年は4月の1カ月間で新卒者の依頼は18人にとどまっており、今年は急増している。
「退職代行」とは、退職を希望する労働者本人に代わって、会社に退職の意思を伝え、退職の手続きを行うサービスのことです。退職代行サービスの運営元には、「弁護士」、「労働組合」、「民間企業」の3つがあります。
①弁護士型
弁護士資格を有する者が、依頼者の代理人として退職の意思を会社側に伝え、その他各種の条件(日程の調整や引き継ぎなどを含む)についても交渉や調整を行います。
②労働組合(ユニオン)型
ユニオンが、退職相談をした人の代理として、会社側に退職の意志を伝えるサービスです。ユニオンは、会社に労働組合がなくても労働者が加入できる外部の労働組合で、会社に対する団体交渉権が認められているため、退職日の調整など直接交渉が可能です。
③民間企業型
最近は、事業として退職代行サービスを行なう民間企業も増えています。ただし、民間の退職代行サービス会社にできることは、「本人に代わって、会社に退職届を提出する」ことだけです。弁護士やユニオンとは異なり、依頼者の代理人として会社との交渉にあたることはできません。
近年、退職代行サービスは新聞やテレビ、インターネットやSNSなどさまざまなメディアで見かけるようになりました。それは、引き止めなど退職時のトラブルによって、労働者が会社を退職できないというケースが増えていることにもよります。
全国に設置されている「総合労働相談コーナー」における個別労働紛争の相談件数では、「いじめ・嫌がらせ」に次いで、2位は「自己都合退職」となっています。「自己都合退職」に関する労働相談とは、退職したいのに何らかの理由をつけて退職させてくれないといったものが含まれ、近年こうした相談が増えているようです。
労働者には、原則として自由に退職できる権利があり、退職(辞職)の意思表示から2週間が経過すると雇用関係が終了します。辞職は労働者の一方的な意思表示により効力が発生しますので、退職代行業者からであっても意思表示となり、会社側の承認は必要としません。
従業員が退職代行を利用した場合の会社側の一般的な対応は、次の流れとなります。
①退職代行の形態(身元)を確認する
上記のように退職代行には3つの形態がありますので、どの退職代行からの連絡かによって、対応の仕方も違ってきます。そのため、退職代行から連絡があった場合、まず退職代行の身元を確認し、3つの形態のいずれにあてはまるのかを明らかにします。
②労働者本人の依頼か確認する
第三者による嫌がらせ目的で、退職代行が依頼されているケースも稀にあるようです。退職代行の依頼を受ける際は、委任状や契約書などが作成されているはずですので、本当に労働者本人からの依頼なのか、委任状・契約書の提示を求め、本人であることを証明する書類があるかなどを確認するようにしてください。
③希望する退職日と就業規則を照らし合わせて確認する
就業規則で「退職1ヶ月前の申出が必要」等の定めがあった場合でも、上記の通り、退職日から2週間以上前に退職(辞職)の意思が伝えられていれば、労働者は退職ができることになっています。希望する退職日が、法律上、また就業規則でも問題ないかなどを考慮して、退職日を決定します。
④退職届の提出を依頼する
手続き上、書面による退職届が必要となりますので、退職代行から退職届が送られてきた場合には、内容に漏れがないか、確認してください。不備がある場合、会社で決められているフォーマットをあらためて送付し、返送してもらうようにします。
⑤退職届を受理する
退職届が会社へ届き次第、受理し、退職の手続きを進めます。
⑥貸与品の返還を依頼する
仕事用のPCやスマートフォン、制服などの貸与品があれば、その返却を依頼し、会社まで届けに来てもらうか、宅配便などで送ってもらうようにします。