家賃補助で総合職厚遇は女性差別
AGC系に賠償命令
ほぼ全員が男性で構成される総合職のみに家賃を補助し、厚遇するのは男女差別だとして、国内ガラス最大手AGCの子会社で勤務する一般職の女性(44)が損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、男女雇用機会均等法が禁じる「間接差別」と認め、子会社に慰謝料など約378万円の賠償を命じた。
男女で異なる取り扱いをする「直接差別」に対して、
「間接差別」とは、
①性別以外の事由を要件とする措置であって、
②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
③合理的な理由がなく講ずること
をいいます。
男女雇用機会均等法は、1985年の制定当初、企業における労働者の募集や採用、配置などに関する男女間の均等な取り扱いを努力義務としていました。その後、1997年の改正で、女性であることを理由とする差別的扱いの禁止が定められ、さらに2006年には、男女共に性別を理由とした差別的扱いが禁止されました。また、2014年には、改正男女雇用機会均等法施行規則により間接差別の対象範囲が拡大しています。
さて、男女雇用機会均等法では、厚生労働省令で定める次の3つを合理的な理由がなく講じた場合は「間接差別」にあたるとして禁止しています。
①募集または採用にあたって、身長、体重、または体力を要件とするもの
②募集、採用、昇進、職種変更にあたって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするもの
③昇進にあたって、転勤経験があることを要件とするもの
なお、厚生労働省令に定めるもの以外についても、裁判において「間接差別」として違法と判断される可能性があります。
コース別雇用管理制度を導入している場合は、男女雇用機会均等法の趣旨に沿った雇用管理を徹底し、どのコース区分を選択した者についても、その能力を十分に発揮して働き続けられる環境づくりが重要です。
雇用管理に際して不必要な要件を課して労働者の能力発揮を阻害していないか、この機会にあらためて見直してみましょう。