くるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等の改正について
「次世代育成支援対策推進法」とは、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために定められた法律です。この法律において、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、労働者の仕事と子育ての両立に関する「一般事業主行動計画」の策定・届出・外部への公表、労働者への周知を行うことが義務とされています(100人以下の企業は努力義務)。
また、策定した「一般事業主行動計画」に定めた目標を達成したなどの一定の基準を満たした企業は、申請することにより、厚生労働大臣の認定・特例認定を受けることができます。
令和4年4月1日からこの認定制度が改正されます。改正のポイントは以下のとおりです。
ポイント1:くるみんの認定基準とマークが改正されます。
① 男性の育児休業等の取得に関する基準が改正されます。
男性の育児休業等取得率
現行:7%以上 → 令和4年4月1日以降:10%以上
男性の育児休業等・育児目的休暇取得率
現行:15%以上 → 令和4年4月1日以降:20%以上
② 認定基準に、男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することが新たに加わります。ただし、認定に関する経過措置があります。
(1) 令和4年4月1日から令和6年3月31日の間は、現行の男性の育児休業等の取得に関する基準の水準でも認定を受けることができます。なお、この場合に付与されるマークは現行マークとなります。
(2) 施行後の行動を評価するため、令和3年度末までに開始した行動計画で令和4年度以降に認定申請を行う場合は、令和3年度末までの計画期間を含めずに、令和4年度以降の計画期間を計画期間とみなすことができます。
ポイント2:プラチナくるみんの特例認定基準が改正されます。
① 男性の育児休業等の取得に関する基準が改正されます。
男性の育児休業等取得率
現行:13%以上 → 令和4年4月1日以降:30%以上
男性の育児休業等・育児目的休暇取得率
現行:30%以上 → 令和4年4月1日以降:50%以上
② 女性の継続就業に関する基準が改正されます。
出産した女性労働者及び出産予定だったが退職した女性労働者のうち、子の1歳時点在職者割合
現行:55% → 令和4年4月1日以降:70%
ただし、特例認定に関する経過措置があります。
① 令和4年4月1日から令和6年3月31日の間は、現行の男性の育児休業等の取得に関する基準や女性の継続就業に関する基準の水準でも認定を受けることができます。
② 施行後の行動を評価するため、令和3年度末までに開始した行動計画で令和4年度以降に認定申請を行う場合は、令和3年度末までの計画期間を含めずに、令和4年度以降の計画期間を計画期間とみなすことができます。
特例認定の取消に関する経過措置もあります。プラチナくるみんは認定取得後、「両立支援のひろば」にて公表した「次世代育成支援対策の実施状況」が同じ項目で2年連続で基準を満たさなかった場合に取消の対象となりますが、今回の認定基準の改正に伴い、公表前事業年度が令和4年4月1日から令和5年3月31日までを含む場合は、新基準を満たしていなくても現行の基準を満たしていれば取消の対象とはなりません。
詳しい経過措置の詳細は厚生労働省ホームページをご参照ください。
ポイント3:新たな認定制度「トライくるみん」が創設されます。
くるみんとプラチナくるみんの認定基準が引き上げられますので、現行のくるみんと同じ基準で認定が受けられる「トライくるみん」が、3つ目の認定制度として創設されます。
※トライくるみん認定を受けていれば、くるみん認定を受けていなくても直接プラチナくるみん認定を申請できます。
ポイント4:新たに不妊治療と仕事との両立に関する認定制度が創設されます。
詳細は厚生労働省ホームページ資料P4をご覧ください。
なお、ヒューマン・プライムチャンネルで、HP通信第321号「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくり」の動画解説を配信しておりますので合わせてご視聴ください。
今回の認定基準の改正は、男性の育児休業取得率向上を大きな目的とする育児・介護休業法の改正が背景にあると考えます。くるみん認定やプラチナくるみんの特例認定基準が同時に引き上げられますが、認定を受ければ、厚生労働省が認定する「子育てサポート企業」としての価値が向上し、より一層、会社内外にアピールできるようになると思います。「一般事業主行動計画」の策定・届出・公表義務は常時雇用する労働者が101人以上の企業が対象ですが、100人以下の企業でも「一般事業主行動計画」を策定・届出・公表を行い、くるみん等の認定を受けることが可能です。また、資料にありますように、常時雇用する労働者が300人以下の中小企業には上限50万円の助成金制度もあります。
助成金も活用し、ぜひ、多くの会社で認定を受けて頂きたいと思います。