70歳までの就業、対応鈍く
法改正から1年、大企業が足踏み 対象者選びに難しさ
高年齢者雇用安定法の強化により、定年が70歳未満の企業で65歳以上70歳未満の社員への「就業確保措置」が努力義務となった。しかし経団連加盟社でさえ対応済みは2割強。65歳以上の誰を対象にするか基準作りの難しさや「努力を義務付ける」規定の不鮮明さから大企業ほど対応が進まず、労働力人口減少への備えができていない。
厚生労働省は6月24日、令和3年の「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)を公表しました。70歳までの就業機会を確保するための措置を実施した企業の割合は25.6%にとどまっていますが、規模別では人手不足感が強い中小企業の方が大企業よりも実施率が高い結果となっています。調査結果のポイントは以下の通りです。
●65歳までの高年齢者雇用確保措置
◇65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.7%
◇高年齢者雇用確保措置の内訳
・継続雇用制度の導入:71.9%
・定年の引き上げ:24.1%
※65歳定年企業は21.1%(大企業では13.7%、中小企業では21.7%)
・定年制の廃止:4.0%
※大企業では0.6%、中小企業では 4.2%
●70歳までの高年齢者就業確保措置
◇70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は25.6%
※大企業では17.8%、中小企業では 26.2%
◇高年齢者就業確保措置の内訳
・継続雇用制度の導入:19.7%
・定年の引き上げ:1.9%
・定年制の廃止:4.0%
・創業支援等措置の導入:0.1%
厚生労働省は、令和4年度地方労働行政運営方針のなかで、「少子高齢化が急速に進行し、人口が減少する中で、働く意欲のある高齢者が年齢に関わりなくその能力・経験を十分に発揮できるように、会社は65歳までの雇用確保に取り組む必要がある」としています。また、70歳までの就業機会確保等に向けた環境整備を図るため、事業主と接触する機会を捉え、65歳を超える定年引上げや継続雇用制度の導入等に向けた意識啓発・機運醸成を図ること、その他60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善を行う企業への助成金支援を行うとしています。