役職手当と時間外手当は異なる
地裁、残業代に充当した埼玉新聞社に未払いの一部支払い命令
埼玉新聞社の40歳代男性記者が、残業代の未払いがあったとして約551万円の支払いを同社に求めた訴訟の判決が26日、さいたま地裁であった。市川多美子裁判長は男性の請求を一部認め、同社に約90万円の支払いを命じた。同社側は役職手当が残業代に当たるとしていたが、判決は役職手当は時間外手当と異なると結論づけ、同社側の主張を退けた。
同社は残業代から役職手当分を差し引いており、「時間外手当に当たるため」と主張されましたが、判決では、給与規定などから控除は認められないとし、2019~2021年の未払い残業代を支払うよう命じました。
本記事に関連して、定額残業代(固定残業代)制度について触れておきます。
定額残業代(固定残業代)とは、時間外労働の有無にかかわらず、あらかじめ割増賃金を一定額に固定して支払う残業代をいいます。また、定額残業代(固定残業代)制度が有効とされるには、以下の要件が必要となります。
- 定額残業代(固定残業代)の採用について、従業員との間で合意が得られていること。
- 労働契約における基本給等の定めについて、通常の労働時間に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができること。
- 割増賃金を手当等の形で支払う場合、その手当等が時間外労働の対価であるといえること。