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正職員の手当削減「合法」

地裁判決、非正規と待遇格差解消で

正職員の手当を削って非正規職員と同一労働同一賃金化を図る手法は違法だとして、済生会山口総合病院(山口市)の正職員9人が手当減額分の支払いを求めていた訴訟で、山口地裁は5月24日、請求棄却の判決を出した。正規職員の待遇を引き下げることで正規・非正規間の格差を解消する手法を容認する初の司法判断とみられる。正社員の手当削減の動きが、他の企業にも広がる可能性もある。

日本経済新聞Web 2023年6月5日付け記事より引用しました。

 この裁判は、病院の正規職員などが「就業規則の変更による扶養手当と住宅手当の減額は一方的な不利益変更」だとして、病院側に手当削減分計約7万円の支払いを求めたものです。
山口地裁は、「女性の就労促進や若年層の確保という課題を抱える病院が、人件費の増加抑制にも配慮して手当の組み換えを検討する中で、非正規職員の手当の拡充は正規職員らの不利益を低く抑えられるように検討して実施された」と指摘し、その上で「制度が根本的に変わる以上、支給条件の大幅な変更もやむをえず、新しい制度設計を選択する合理性と相当性が認められる」として正規職員側の訴えを退けました。

労働者の不利益になるような就業規則の変更を、会社が一方的に行うことは原則として認められません。
労働契約法第9条は、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。」と定めており、労働契約法第10条は、使用者が就業規則の変更により労働者の労働条件を不利益に変更する場合でも、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、当該変更が合理的なものであるときは、変更後の就業規則の通りの労働条件となることを定めています。

就業規則の変更に合理性があるとして、労働条件の変更が有効になるのは、以下のような場合です(5つを総合的に考慮することによって判断されます)。
①事業経営の上での必然性がある
②労働者が被る不利益の程度が妥当である
③労働者への代償、経過措置、その他の労働条件の改善がある
④社会的に見ても妥当な変更である
⑤労働組合や労働者への説明がなされ、大部分の合意がある

なお、ヒューマン・プライム通信のバックナンバーで「人事・労務の実務における基礎知識」として、就業規則について2回にわたって解説していますので、この機会にぜひご視聴ください。

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