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同意なき性的指向暴露“アウティング”巡り 労災認定

全国初か パワーハラスメントと認められる

都内の保険代理店に勤めていた20代の男性が職場で同意なく性的指向を暴露される「アウティング」を受けたあと、精神疾患を発症したことについて労働基準監督署から労災として認定されていたことがわかりました。支援団体はアウティングをめぐって労災認定されたのは全国で初めてではないかとしています。

NHK 2023年7月24日付け記事より引用しました。

 厚生労働省はパワハラ指針のなかで、パワハラの典型例として以下の6つをあげています。

  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 過大な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

このうちSOGIに関するハラスメント(SOGIハラ)※について触れているのは、2.精神的な攻撃と、6.個の侵害です。

●精神的な攻撃に該当すると考えられる例
 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む
●個の侵害に該当すると考えられる例
 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること

このように、パワハラ指針では、性的指向や性自認に関する侮辱的な言動やアウティングがパワハラに当たり得るということが示されています。

アウティングとは「本人が望まないのに、第三者が性的指向や性自認を暴露すること」で、SOGIハラの一つです。個人の性的指向・性自認に関する情報は機微な個人情報と解されるため、パワハラ防止指針では、個人が性的指向・性自認に関する情報をオープンにしていない場合に、本人の了承を得ずに当該情報を第三者に暴露すること(無断開示)を、個の侵害としてパワハラに該当し得るとしています。

パワハラ防止指針においてアウティングを含むSOGIハラがパワハラに該当することが示されており、そして、事業主にはパワハラを防止する措置義務が課されています。

従って、職場においてSOGIハラがあった場合、その被害者は安全配慮義務違反を理由に事業主に対して損害賠償請求を行うことができます。事業主としては、このようなリスクを回避するためにも、SOGIハラ防止に取り組む必要があります。職場におけるSOGIハラ防止のポイントとしては、以下のようなことが考えられますので、参考になさってください。

  • 就業規則に「職場におけるSOGIハラ禁止」を定めておく
  • 従業員向けに、SOGIハラに関する正しい認識や知識を持たせる研修を実施する
  • 相談窓口ではSOGIハラに関する相談にも対応していることを明示する
  • 相談窓口の担当者に、性の多様性や当事者が職場で抱えている困難性、カミングアウトを受けた場合の対応などについての教育を実施する

※性的指向(Sexual Orientation:SO)は恋愛感情または性的感情の対象となる性別についての指向であり、性自認(Gender Identity:GI)は自己の性別についての認識のことを指します。これらを合わせてSOGI(ソジ)といい、SOGIに関するハラスメントはSOGIハラと呼ばれています。

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