最低賃金、過去最大「50円上げ」議論
転嫁遅れで悩む中小
厚生労働省の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は25日、2024年度の最低賃金引き上げに向けた議論を始めた。24年度の春季労使交渉で企業の賃上げ率は5%を超えている。最低賃金を同じく5%上げると、金額では過去最大の50円に達する。物価と賃金の好循環には労使合意のもとでの引き上げが欠かせない。
最低賃金の引き上げ額は、2021年度から3年連続で過去最大(2021年度+28円、2022年度+31円、2023年度+43円)であり、最低賃金は昨年、初めて全国平均で1,000円を超え、「1,004円」となりました。
さて、政府は、昨年8月に開催された「新しい資本主義実現会議」のなかで、最低賃金の目標を次の通り掲げています。
「最低賃金については、さらに着実に引き上げを行っていく必要があり、引き続き、公労使三者構成の最低賃金審議会で、毎年の賃上げ額についてしっかりと議論していただき、その積み上げにより2030年代半ばまでに全国加重平均が1,500円となることを目指していく」(岸田総理のコメントより)また、6月21日に決定した骨太方針2024において「2030年代半ばまでに全国加重平均を1,500円となることを目指すとした目標について、より早く達成ができるよう取り組む」ことが明記されました。
以下、ご参考までに、最低賃金の基礎知識を掲載しています。
国は、最低賃金法に基づき、労働者の生活が成り立つよう、会社が支払う最低額を決めています。最低賃金は時間額で決められ、月給制、日給制などすべての賃金形態に時間額が適用され、パートタイマー、アルバイトなどの働き方の違いにかかわらずすべての労働者に適用されます。
最低賃金より低い賃金を定める労働契約は、その部分については無効となり、最低賃金と同額の定めをしたものとされます。なお、最低賃金には、通勤手当、精皆勤手当、家族手当、賞与、残業手当などは含まれません。
最低賃金には、都道府県ごとに定められた地域別最低賃金と産業別に定められた特定最低賃金があります。特定最低賃金は、特定の産業において、労使間で必要と認められた場合に、地域別最低賃金より高い最低賃金を定め、適用できる制度です。
一方、次の労働者については、一般の労働者と労働能力が異なり、一律に最低賃金を適用するとかえって雇用機会を狭める可能性があるという理由で、使用者が事前に所轄の労働基準監督署経由で都道府県労働局長の許可を得れば、最低賃金の適用除外者となります。
●精神または身体の障害により著しく労働能力が低い者
●試用期間中の者
●認定職業訓練を受けている者のうち一定の者
●軽易な業務に従事する者
●断続的労働に従事する者