日南市立中部病院マタハラ訴訟 宮崎地裁は原告の女性医師の請求を棄却
精神疾患が悪化し、退職を余儀なくされたとの訴え…
日南市立中部病院に勤めていた女性医師が、マタニティー・ハラスメントを受け就労が困難になったとして、日南市に損害賠償を求めた裁判で、宮崎地裁は原告の請求を棄却しました。
マタニティハラスメント(マタハラ)は、職場において労働者に対して行われる「妊娠・出産、あるいは育児休業制度等の利用」を理由とする「事業主による不利益取扱い」や「上司・同僚からの嫌がらせ(ハラスメント)」と理解されていますが、ここで、不利益取扱いとハラスメントの違いについて整理しておきたいと思います。
不利益取扱いの禁止は、男女雇用機会均等法第9条3項、育児・介護休業法第10条等に定められており、「妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いをしてはならない」とされています。
一方、ハラスメントについては、男女雇用機会均等法第11条の2、育児・介護休業法第25条によって、事業主に体制の整備や防止措置を講ずることが義務付けられており、「上司・同僚が職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする就業環境を害する行為をすることがないよう防止措置を講じなければならない」とされています。
一般的には「マタハラ」として括られてしまうことが多いのですが、実際には、ハラスメントはその防止措置を講ずることが義務付けられているのに対し、不利益取扱いは禁止されていることに留意が必要です。