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日立、「第3の年金」12万人に拡大

運用リスクを労使で分担する制度

日立製作所は企業年金の運用リスクを労使で分担する制度をグループ会社に全面導入する。12万人が対象となる。積み立て不足が発生して年金財政が悪化するのを避ける一方、企業が運用を担い従業員の資産形成を後押しする。企業か従業員のいずれかが負担する制度に加え、双方に持続可能な「第3の企業年金」が企業の有力な選択肢として広がる可能性がある

日本経済新聞Web 2022年6月23日付け記事より引用しました。

 企業年金制度としては確定給付型(DB)と確定拠出型(DC)がよく知られていますが、DBでは運用等のリスクが事業主に偏る一方、DCでは運用リスクが加入者に偏ることとなります。

そこで、労使でリスクを柔軟に分け合う第3の企業年金と呼ばれる「リスク分担型企業年金」が誕生しました。リスク分担型企業年金は、DBとDCの中間的な仕組みとして創設され、2017年1月から施行されています。このようにDBとDCの性質を併せ持つハイブリッド型の企業年金制度ですが、企業年金法上はDBの一種に分類されています。

リスク分担型企業年金は、事業主がリスクへの対応分も含む固定の掛金を拠出することによって一定のリスクを負い、財政バランスが崩れた場合には給付の調整を行うことにより、加入者も一定のリスクを負うことで、リスクを分担する仕組みです。運用の結果が加入者等の給付に反映される可能性があることから、運用の基本方針の作成等に当たっては加入者の意見を聴くこととし、その意見を十分に考慮するものとされています。

加入者の意見を聴く方法の一つとして、加入者代表が参画する委員会を設置し、運用の基本方針に対して加入者代表が意見を述べる機会を与える方法があります。このような労使のガバナンスを有効に機能させるためには、労使双方が年金財政や資産運用について議論できるだけの知識と情報を身に付けておかなければなりません。

なお、リスク分担型企業年金の導入件数は2022年6月1日時点で21件にとどまっている状況ですが、今後、企業の有力な選択肢として広がる可能性があると思います。

なお、リスク分担型企業年金でないDBのリスク対応掛金については、以下のとおりです。
ちなみにリスク対応掛金の承認(認可)件数は、2022年6月1現在で、510件となっています。

~企業年金連合会「用語集」より引用~

確定給付企業年金において平成29年1月より認められることとなった、「将来発生するリスク」に対応するための掛金。
従来の掛金はそうしたリスクまでは考慮していないため、運用実績が予定利率を大きく下回るなどで積立不足が生じたときには事業主に追加の掛金負担が生じることとなるが、リスク対応掛金は、不況期等の掛金増加につながらないように、あらかじめ「将来発生するリスク」を測定し、その水準を踏まえて、上乗せの掛金の拠出を行うことのできる仕組みで、財政再計算時に、労使合意に基づき、将来発生するリスクの範囲内で拠出水準を定め、5~20年での均等拠出、弾力拠出又は定率拠出等により拠出する。

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