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「年収の壁」対策、就労促進探る

年金改革など調整必要

岸田文雄首相は1日、一定の所得を超えると税や社会保険料が発生する「年収の壁」への対応策を検討すると明らかにした。働き手不足が続いており、就労を抑える要因として「106万円」や「130万円」の壁が指摘される問題に向き合う。政府は厚生年金に加入するパート労働者を広げるなど目先は本人の負担増となる改革にも取り組む。さまざまな制度との調整が必要になる。

日本経済新聞Web 2023年2月2日付け記事より引用しました。

 社会保険における「130万円」の壁は、社会保険の被扶養者となる要件の一つです。一方、社会保険の「106万円」の壁は、社会保険の適用拡大により被保険者となる要件の一つ(下記の③)です。

パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者は、以下の要件を満たすことで、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②雇用期間が継続して2ヵ月を超えて見込まれること
③賃金の月額が8.8万円(8.8万円×12ヶ月=105.6万円)以上であること
④学生ではないこと(夜間の学生などは対象)
⑤被保険者の総数が企業規模で常時101人以上の特定適用事業所に勤務(または任意特定適用事業所に勤務)
詳しくは、日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」をご覧ください。

このうち、⑤の企業規模要件は、2022年10月、それまでの501人以上から101人以上にまで拡大しました。また、2024年10月には51人以上まで引き下げることが決まっています。

さらに、昨年末に有識者会議がまとめた「全世代型社会保障構築会議 報告書」のなかで、企業規模要件を撤廃すべきと提起しています。報告書では、改革の方向性として「働き方に中立的な社会保障制度等の構築」を掲げ、その取り組むべき課題として「短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃」を挙げ、次のように指摘しています。

  • 週20時間以上勤務する短時間労働者にとって、勤め先の企業の規模によって被用者保険の適用に違いが生まれる状況の解消を図るべきであり、企業規模要件の撤廃について早急に実現を図るべきである。

こちらの記事もご参照ください。

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