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気になる話題ピックアップ

JR西日本元社員が逆転敗訴

500万円窃盗で逮捕、不起訴も解雇有効

勤務していたJR金沢駅で500万円を盗んだ疑いで逮捕され、その後不起訴になったもののJR西日本に解雇された元社員の男性が雇用関係の確認を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部は13日、解雇を無効とし未払い賃金の支払いを命じた1審判決を取り消し、男性の請求を棄却した。

産経新聞 2023年9月13日付け記事より引用しました。

 解雇には、大きく分けて「普通解雇」と「懲戒解雇」の二種類があります。

普通解雇は、民法627条1項に基づく使用者からの解約の申入れであり、懲戒解雇は、企業秩序の違反に対する使用者の懲戒権の行使であって、両者は本質的に異なるものです。なお、「整理解雇」は、経営上必要とされる人員削減のために行われる解雇のことで、普通解雇に含まれます。

普通解雇
労働者の能力不足や適格性・協調性の欠如、勤務不良、成績不良、また、業務外の傷病などを理由とする解雇で、いわゆる労働者の債務不履行を主たる理由とした解雇といえます。普通解雇の事由は、通常、就業規則に列挙されており、仮に就業規則に基づき妥当と判断の上で解雇した場合でも、労働契約法16条の解雇権濫用法理に該当する場合、その解雇は無効になりますので、留意が必要です。
労働契約法16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

整理解雇
使用者が、経営状況の悪化を理由に人員削減を目的に行う解雇で、いわゆる人員整理(リストラ)の一環です。整理解雇は、普通解雇と違い、労働者には何らの非もないのに一方的に解雇されてしまうわけですから、当然ながらその要件は厳しくなります。これまでの判例や学説から、整理解雇が認められるためには、次の4要件(または4要素)を満たす必要があると考えられています。
①人員削減の必要性があること
②解雇を回避する努力を尽くしたこと
③被解雇者の人選に合理的な理由があること(被解雇者選定の妥当性)
④労働者・労働組合への説明・協議を十分におこなったこと(手続の妥当性)

懲戒解雇
懲戒解雇は、労働者が長期にわたる無断欠勤などによって企業秩序を著しく乱したり、横領・背任等によって会社に重大な損害を与えた場合などに「懲戒処分」として行われる解雇であり、懲戒のなかで最も重い処分です。懲戒解雇の有効性は、普通解雇と比べても非常に厳しく判断される傾向にあり、就業規則等にその根拠となる規定が存在すること、労働者の非違行為に懲戒事由が認められることや、解雇という処分が相当性を有することが要件となります。
労働契約法15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

なお、就業規則における「懲戒処分」の規定については、こちらをご参照ください。

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