非常勤講師の雇い止め無効
大学側に未払い賃金支払い命じる
関西福祉科学大(大阪府柏原市)で英語の非常勤講師を務めていた京都市の川口剛さん(57)が、勤務状況に問題がないのに雇い止めされたのは不当として、運営する学校法人に地位確認などを求めた訴訟の判決で、京都地裁は19日、「社会通念上相当だと認められない」として雇い止めは無効と判断し、未払い賃金の支払いを命じた。
有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了しますが、これを「雇止め」といいます。
雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例によって一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立していました。その後、平成24年8月に施行された改正労働契約法において、雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、そのまま第19条に規定されています。これを「雇止め法理の法定化」といいます。
<雇止め法理の法定化>
●次の1、2のいずれかに該当する有期労働契約が対象になります。
- 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
- 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
●1、2のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。
●雇止め法理のルールが適用されるためには、次のいずれかの条件が必要です。
- 契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合
- 契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合
更新の申込み、締結の申込みは、使用者からの雇止めの意思表示に対して、「嫌だ、困る」と言うなど労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるもので構わないとされています。
雇止めについては本記事のように裁判になる場面が増えており、有期労働契約の従業員を雇用している企業は、雇止め法理について正しく理解しておくことが必要です。
雇止めのほかにも労務管理の不備が原因で、労働者との間にトラブルを起こしてしまう可能性があります。
この機会に自社の状況についてセルフチェックしてみましょう。